「クライスラーの破綻とはわけが違う」と懸念されていたはずのGM破綻に伴う影響も、「さしたる影響はなし。織り込み済み」とコメントにあっさり宗旨替え。
 いつもながら、こういうときこそ、「楽観の見方が広がってはいるけど、この点は今後も注意が必要」と楽観に振れた今こそ、プロの視点で冷静な注意点をしめしたり、「大きな混乱を予想していたが、この点が改善されたので危機的な状況が避けられた」と想定と異なる展開になった要因を、「織り込み済み」という一言で片付けず、自分のコメントに区切りをつける意味でも説明すべきだと思います。
 暴落を懸念された米ドルは96円。米ドルとともに金融危機で傷んだ通貨英ポンドは120円から159円。豪ドルは55円から78円。これらの通貨よりも、問題を抱え元気がないユーロも112円から137円まで円安に戻りました。
 昨年は円独歩高でひどい目にあった日本人でしたが、今年の底から見れば、概ね3割程度回復しました。
 日本株式はどうでしょう?底からは概ね4割上昇しています。しかも、この4割の水準も、世界の株式と比較すれば、日本株の上昇は出遅れています。アジア株のひとつである日本株は出遅れているのです。
 さすがにここまで上がると、これまで様子を見ていた投資家、早々売却して処分をしていた投資家は気が気ではありません。プロで人様の運用を行っている人であれば尚更です。「どこかで仕事をしているふりをしておかなければ・・」と心中、買うタイミングを焦っている人も多いでしょう。
 一般の方でも、自分が目をつけていた銘柄が2割も3割も上がってしまった現実を見て、「まだ買えそうな銘柄は残っていないかなあ」と出遅れ銘柄を物色するのもこれからでしょう。
 日経平均株価指数が1万円手前でいるうちは、「勢いがつけば、それぐらいいくさあ・・」と気のないそぶりをしていた人も、一万円の大台に乗せても、大きく値を崩しそうもない堅調な相場をみたら、ますます買いの焦りを募らせるはずです。もともとこの暴落相場のきっかけになったのは、日経平均株価が割り込むはずのない12000円を割り込み、さらに1万円の大台を底割れしたから、米ドル100円を抜ける円高に、ショックを受けて妥当価値を見失う相場に入っていったからです。
 その際まで、今戻ってきました。買っていた人には自信を与え、買えてなかった人や売ろうとしていた人には「少しは参加してみるか」という欲を与え、後悔する人には一層の焦りを与える相場に入りかけています。まさに、心理戦ですね。
 ここまでの3割、4割の利益を取るのはリスクを人より少し多く取れば可能でしたが、ここからの相場ではさらに1割、2割利益を積み上げていくのは難しい。覚悟が必要だと思います。
 ここからの大事なポイントは、大きく利益を取るチャンスをつかまえることよりも、大きく損をする機会を回避して貯めた利益を吐き出さないことだと私は考えます。リスクは、自分がコントロールできる範囲を意識して、投資に臨みたいと思います。