昨日の日経新聞に「公的年金運用 進まぬ改革」という記事がありました。国民年金や厚生年金といった公的年金の運用改革が迷走しているという内容です。現在、厚生労働省が将来の名目運用利回りが年4.1%になることを前提に、2010年度からの資産構成をどうしたらよいかと検討しているそうです。
2008年末時点の資産構成は、76%が国内債券で運用し、残りが内外株式で16%、外国債券で8%らしいです。
この構成で、年4.1%を実現できるのか?国内債券の期待リターンを年3%としているけど、「これはおかしくねえ?10年国債利回りでも1.4%台の利回りなのに・・・」という問題提議がありました。わたしも「おかしくねえ?」と思いますし、そもそも年4.1%の目標数字は何を根拠にした数字なのでしょうか?
 現在の世界的な低金利の投資環境で、年4.1%を確保するには、値上がり利益を期待する資産構成にするしかなく、為替の円安に期待した外貨の割合を増やすか、株価の値上がり利益を期待して株式投資の割合を増やすしかないと思います。現在の国内債券に76%投資している構成ではせいぜい期待できて、年2.4%程度でしょうか。
 年4.1%期待リターンの数字の背景をつけるために、国内債券に年3%を期待せざるを得なかったというのが苦しい実情だと思います。
 金融商品取引法により、投資家への提案は投資家の投資目的に沿った提案であることが前提です。運用を任された年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、どのような投資家の声を聞いて、それに対してどんな運用を目指しているのでしょうか?
 年4.1%のリターンを確保するには、投資家にそれなりの為替リスクとそれなりの株価変動リスクを取る覚悟が必要です。その了解、合意は取れているのでしょうか?
取れていないからこそ、「大事な資産を預かっておきながら、こんなにマイナス運用になるなんてけしからん」という話しになるのでしょう。
 したがって、現在の運用を続けるのであれば、「結果についてはとやかく言わない。自分にできないことを任せているのだから、結果責任は問わない」という、投資を一任した資金だけを扱うべきではないでしょうか(?のパターン)。
 またはです。「別に大きなリターンは望まない。ただ老後の資金として確実に当てにできる資金として運用して欲しい」と安全資産で運用することを前提でローリターンでも仕方がないという投資家の資金だけを扱うのはいかがでしょうか(?のパターン)。
 ?、?は極端な投資目的です。それを、現在のやり方で両方のニーズを満たすことは困難なことです。GPIFは、?と?のどちらかのニーズに応える組織にして、一方は税優遇をつけて民間に委ねた方がよいのではないでしょうか。
 そうしないと、運用する側は常に成績が良くて当たり前。悪ければぼろくそに言われ存在意義さえも疑われる。それでは士気は落ちっぱなし。結果、資金を預けた国民、投資家のためにもなりません。
「国内債券76%は現状の投資環境が不透明だから、冒険をせずしのいでいる姿です。当然年4.1%は神風が吹かない限り達成できません。国内債券で年3%の目標リターンはごめんなさい。数字をでっち上げるために鉛筆をなめました。プロとして恥ずかしい行為でした」。
正直が何よりだと思いますが・・・。