本日、日経に「新興国 米国債保有、短期シフト 金利高・ドル安警戒」という記事がありました。
 事実だけを振り返れば
 ?外国政府・中央銀行による米国債の保有残高が5月末現在、前年比約3割増加している
 ?この米国債残高の内、発行から償還までの期間が1年以内の短期債の割合が26%となり、1  
  年前から2倍に高まっている
 ?金融危機が深刻になった昨秋以降、新興国は外貨準備の安全な運用先として米国債の購入
  を一段と進めた
 ?この間米国の長期金利は3%の後半から一時2%近くまで急低下した
 記事には、新興国が運用先を米国債以外にも広げる思惑を強めていることを米国長期金利が 上昇する懸念材料としていました。
 この記事から拾った材料を元にすれば、私はむしろ米国債利回りが想定外の急上昇する場面は当面無いと考えます。
 金利はお金を借りたい人と貸したい人の需給関係で、お金が借りたい人が増えれば上がり、貸したい人が増えれば下がります。
 金融危機が去ったならともかく、現在も金融危機の最中であり、一部に火力が弱まりつつある傾向が見えるだけです。安全資産として米国国債以外のものが見つかれば別ですが、安全を期待するマネーの絶対額を支える器として、にわかに米国国債以外の受け皿が見つかるとは思えません。実際、一番資金が潤沢に入ってきたはずの新興国は結局自国通貨で持つよりも米ドル、米国国債を選びました。しかも、長期国債を嫌って短期国債に資金シフトを優先したにもかかわらず、長期金利は上昇せず、むしろ低位安定していると言うことは、継続的な米国国債ニーズが存在している証ではないでしょうか。
 逆に短期の米国国債に貯まったマネーの存在が足下から金利上昇を抑え、もし長期金利が上昇する局面では短期から長期に資金が流れて、長期金利の上昇を抑える役目も期待されるでしょう。
 新興国が米ドルから「原油」や「金」にシフトするという話があります。もちろん、そうした動きはあってもおかしくないと思いますが、今回の金融危機で分散投資の名の下に商品やヘッジファンドなどに大事な国の資産を投じて大損をこいて間もないこの時期に思い切って、金利のつかない原油や金に大量に追加投資を行う英断ができるのでしょうか。
「もしここでまた失敗をしたら・・。だったら無難に、無難に。みんながやっているように米国債を短期でつないでいった方がいいかも」と考える運用責任者の方が多いのではないでしょうか。
 将来はわかりませんが、今の現状では米国債の長期金利急騰を心配する必要はないと私は考えています。