注目された欧州金融機関のストレステスト(資産査定)の数字が甘いという意見が多いですね。
そうした意見の中に
「ほとんどの金融機関が資産の内容をディスクロしているのだから、数字が信用ならないという人は自分で計算すればいい」という人がいました。私もその通りだと思います。
 「これだけユーロ圏国債のデフォルトが注目されているのに、デフォルトの可能性を考慮しないのはおかしい」という人は、開示データを基に計算すればいい。その数字を持って、「この数字は可能性のない数字なのか」と個別金融機関につきつけ、感想を引き出すのがアナリストの役目だと思います。
 EUとしては、今後3年間はユーロ圏の国債にデフォルトがないように資金手当てを行ったわけだから、デフォルトを前提にした国債価値の評価を行うわけにはいかなかったのだと思います。
今後はユーロ圏当局や金融機関が、データに対して世間が疑問に思う点に、誠実に、そして丁寧にデータで繰り返し説明していくことが求められます。
 余りに問題が大きく過ぎて、「何を答えるか」と説明する側、そして「何を質問しようか」と不安に思う側の双方が課題点を整理できずにいたのが、このストレステストの情報開示を機会に課題を整理し具体的な解決のスピードを速めていく良い機会となるのではないでしょうか。市場の動揺が徐々に沈静化へ向かうことが期待されます。
 米国の金融危機の時もそうですが、金融機関の破綻が起きないことが重要なわけではなく、生き残る金融機関と破綻する金融機関の色分けができて、「どの金融機関も破綻するというひどい状況ではないんだ」という気づきが市場の安心感につながる大事な点なんだと思います。
何度も申し上げますが、今回のストレステストの情報開示は前向きな投資に向けて一歩を踏み出す機会になったと思います。