銀行株や証券株を持っている人にはお気の毒な状況が続いています。もしゆうちょ銀行が上場していたら、おそらく同様の状態にあると思います。

 国内の銀行・証券会社は何を強みにして生き残っていこうと考えているのでしょうか。以前、銀行は特別でした。金融機関のくくりではなく、銀行という別格の存在でした。預金者ははっきりと銀行と証券会社を区別して、銀行に信頼を寄せていた時期がありました。
 もし外資系金融機関に銀行業界を自由に開放したら、善意の預金者が外資系金融機関の食い物にされてしまうという心配する声も実際ありました。
 現在銀行も含めて金融機関は自分の生き残りに必死で、「いかに収益を上げるか」が主となり(実益は上がっていませんが・・・)、預金者とともに活きるWinWinの関係が成立しているようには見えません。
 ある金融機関はある金融機関の顧客リストに関心を持ち買収したものの、そこからの収益が上がらず見込み違いとなりました。買収した側の金融機関はおそらく、「確かに優良顧客のリストはあったけど、金融機関とのパイプはすでに切れていて、一から関係を結ぶのに等しい状況だった」と収益が上がらない要因としてあげるでしょう。
 以前の銀行が信頼された状況であったなら、顧客は新しい訪問者にも心開いた対応をしたと思います。しかし現在は、金融機関の都合でしか顧客と接することがなくなった金融機関はバッサリと見切られ、以前のメインバンク的な感覚はとうに消えてしまっています。むしろ「今まで何もしてくれなかった。放ったらかしにされていた」とマイナスイメージを持たれているかも知れません。
 買収した側の金融機関も金融機関が置かれている現状認識が甘いと思います。預金者はすでに金融機関に対して心を閉じています。まず疑うようになりました。「○○金融機関と当社は合併し、新しい金融機関としてスタートすることになりました。変わらずお付き合いしてください」と挨拶に行っても特別な感情を顧客がもつことはないでしょう。「今度の人はどんな人かな。この金融機関は当てにしていいところかな」とまずバリアーを張って様子をうかがう人のほうが多いと思います。
ただ単に優良なリストがあっても、使いこなす側に魅力がなければ顧客はついてきません。
 貧すれば鈍する。とどのつまりで生き残りをかけて顧客とWinWinの関係を築こうと努力しても、顧客はそんな先のないところにお金回りの期待をかけることはありません。金融機関の最低条件は、自分の寿命よりも少なくとも長くサポートできるだけの企業体力を持っていることです。「5年後存在するかな」と不安になるような先になってから頑張ってみても手遅れです。
 幸い、まだ多くの銀行はその体力があるわけですから顧客とWinWinの関係を結ぶ努力のしがいがあり頑張ってもらいたいと願います。「手数料を下げること」「商品ラインナップを増やすこと」、この延長上に顧客との良好な関係が見えているのでしょうか。それだけでは、強みが見えてきません。
結局は現場と顧客をつなぐ対面のコミュニケーションを充実させることが必要ではないでしょうか。
コールセンター対応。顔が見えないというハンディは大きいですね。そこでの不快な印象は長く消えることはありません。
 「解散価値で考えると銀行・証券株は割安」。これは金融機関としての存在に対する警告であり、ほめ言葉・セールストークではありません。