米国10年国債利回りはこの1カ月で2.3%から2.9%まで上昇してきました。2.3%の水準はいかにも低い水準でしたが、2.9%は日本10年国債利回り1%台と比較すれば妥当な水準近くには戻ってきました。債券利回りが上昇し、株価が上昇してくると、すぐ債券売りの株買いという話しになりますが、私は、もしそうあるとすれば、むしろこれからだと考えています。

 現在はまだ、債券の金利が低すぎたところから妥当な水準への戻りがあるかもという見通しから、「債券の利益確定」が入ってきただけ、株高は「もっと下がると思ったのに、様子がおかしいから取り敢えず買い戻し」という段階で、足下に資金がジャブついている状態なのだと思います。
 その中で、世界に散った足下にジャブついたお金が少しドルに戻ってきて、久しぶりのドル高基調になっているのかなあと思っています。
 この1カ月間で世界的に長期金利が上昇した足跡は、債券を利益確定していったん現金のまま残し、それを次ぎにどこに移そうかと迷っている資金が急激に増えたことの証しであり、投資家としては、その資金がどこに向かうのかは非常に興味深い事柄です。
 債券に止まっていたお金は金融危機で非常に臆病になってしまった資金ですから、動き出したとしても、「債券売り・株式買い」というスパッとした切り換えができるとは思えず、ジリジリとゆったりとした資金の流れとして株式等リスク資産に向かっていくと予想されます。したがって大幅な上昇という形ではなく、ジリジリと上昇し、いつの間にか水準が切り上がってきて「相場は底堅い」というムードが広がっていく展開ではないでしょうか。
 大きく株価が下がるようなこともなく、この水準以上の株価が保たれるようであれば、年末商戦もそれほど悪い数字にはならず、結局、それが全体の相場ムードを明るくするという好循環も期待できるでしょう。いずれにしても、ここまで冷え切った相場の後ですから、そんなすぐにハッピーな状況を期待せず、「後で振り返れば良い思い出になる」ぐらいのつもりで現在を見ていればよいのだと思います。