東日本大震災発生前の段階では、日経平均株価12000円程度で高値警戒感の高まりを受けて株価が調整する時期にいったん入り、それをその後のジリジリとした円安基調が支え、時間をかけて後半盛り返し、高値奪回、13500円程度まで上昇していくという展開を2011年の日本株相場として思い描いていました。12000円までの水準には金融危機以降に心配された破綻懸念が払拭されれば、その後の水準は企業業績の伸びを期待する展開に入れば実現すると想定していました。

 しかし、実際、東日本大震災が発生しました。当然、見直しが必要だとは思いますが、再び金融危機後の誰もが破綻を意識したところまで金融・経済が悪化していかない前提で考えれば、少なくとも12000円程度までの戻りは期待できると私は期待していますし、円安が株価の下落を支え押し上げていく想定は現在も活きていると考えます。
 円安が進むと、「円安は株高につながらない」とか「円安は日本売りの象徴だ」とか、円安を不安材料、悪材料として取り上げられ、株価下落や円安進行の現象を肯定化する根拠にされることが多くなりますが、これはムードでしかありません。為替相場の影響には裏表あり、どちらが正しいということではなく、たまたま現在がそういうムード勝っているだけ。いずれ、円安が好材料として取り上げられたり、円高に振れれば、「円高がもっともだ」という意見が多くなるものです。
 したがって、投資判断として大事な視点は妥当から割高、割高から妥当、妥当から割安、割安から妥当の経過をズッと継続して確認し、「何が妥当で、何がどう行き過ぎたものになっているのか」のイメージを持つことだと思います。そして「妥当から割安。割安から妥当に向かう場面」であれば、投資に対して弱気になる必要はなく、前向きに考えてよいのだと考えています。豪ドル90円、日経平均株価9800円の水準は現状では妥当だと思います。ここから更に円安・株高になるには、新たに強気になれる材料が発生するか、「投資したいけど、なかなか下がらない」状態が続き、しびれを切らした買い方の参加者が増えていくことが必要だと思います。
 最近では、自粛ムードで日本全体が落ち込んでしまっては意味がない。頑張れる人、企業は力を発揮して、落ち込んだ消費を引っ張っていく役目を果たすべきという動きが出てきました。「いかに落ち込んでしまった東北・北関東の景気を被災地でない地域の消費需要に結びつけて引っ張っていけるか」を一生懸命、頭ひねって考えている人は大勢いるでしょう。
 個人的には、「様子を見てきたけど、なかなか買いたいものが思うほど下がらない。最近はジリッと円安・株高が進んできた」としびれを切らした上昇相場になる可能性のほうが高いと想定しています。したがって大きな株価下落や円高に振れる機会は少なく、こうした機会が今後より貴重になっていくと考えた方がよいと思います。のべつ幕なしの強気はもちろん、のべつ幕なしの弱気も避けたい心境です。