米国は結局、予想通り追加的金融緩和措置(QE2)を6月末で終了することになりました。あれだけ新興国から「ドル安誘導、インフレの輸出」と非難を受ければ、QE3を口にすることは難しい状況です。昨年導入時に米国政府が懸念していたデフレ懸念は解消し、ドル安による個人消費は息を吹き返して、むしろインフレを懸念する段階に入りました。

 景気停滞時のインフレ懸念ほど政治に厄介なものはありません。食料価格、エネルギー価格の高騰は特に豊かでない市民層の不満を高め、社会不安の火種になります。
中東危機、東日本大震災、各地で起こる異常気象に伴う天災の発生により、お金がないわけではなく、不安で足下にどんどん貯まって動かなくなっています。
 実需を伴わない投機的な動きをしめす商品相場は目の敵になります。「確かに将来高くなるのは仕方ないと思うが、現在の価格水準は実需にあったものなのか?投機的な思惑でかさ上げされた部分がかなりあるはずだ」と小市民は怒りを持って疑っています。
 したがって、政府にとって喫緊の課題はインフレ抑制、インフレ懸念払拭。投機的な動きをけん制するために、証拠金を引き上げたり、投機資金への融資を絞ったり。今回のIEA(国際エネルギー機関)が日米など加盟28カ国に義務づけている原油や石油製品などの石油備蓄を協調放出させたのは、具体的な手立てをしぶるOPECへのけん制だと思われます。
 そしてQE2を終了せざるを得ななかった米国のインフレ対応として考えられるのは、多くの新興国と同様に、緩やかなるドル高容認です。新興国株式相場、商品相場と調整が入り、米国国債など先進主要国国債に資金が一時避難を続けていますが、さすがに米10年国債利回りも2.9%まで低下してきました。魅力はもはや無いです。
 先進主要国国債に逃げ込んだ資金はどこを目指すことになるのでしょうか?
「これだあ」と方向性が出てくるきっかけに注目している人が多いのだと思います。