非常に意外感のある数字があります。今年5月の投信買越額は9300億円となり、3年9ヶ月ぶりの大幅な資金流入がありました。外債や海外リートを投資対象にしたものが多かったようです。

 私のクライアントや世の中のムードから推し量ると、そんなに投資信託のニーズが盛り上がっているようには感じられなかったので意外に思いました。投信を販売する営業店では、さぞや厳しい営業を強いられた結果なのかと探ってみると、一時の無理な営業はむしろ控えられている様子。ある意味、自然体の結果とも言えます。
 金融危機以降、リスクに懲りてしまった資金が、国債に流れ、預貯金に流れ、その後の社債ブームに流れ、いったんリスク資産が好調に推移した時期を過ぎて、再びリスクに躊躇するような投資環境に入り、早3ヶ月を経過しました。
 印象にある人も多いと思いますが、今年に入って、人気商品だった時代の5年固定金利型個人向け国債の償還、シティグループ、オリックス、ソフトバンクといった社債の償還を続々と迎えています。今後も個人向け国債の償還、社債の償還は続き、もうしばらくするとメガバンクの劣後社債の途中償還も加わってくるでしょう。
 私には全然興味がない4年、5年で利率1%程度の社債や某証券の期間の短い社債の売れ行きも好調だと聞きます。
 想像するところ、金融危機以降に高利回りを享受できた金融商品の償還満期で、今後の投資に悩むマネーが、ここにきて、さすがにあふれ出してきたのだと思います。あふれたお金なのです。したがって、過熱感はありません。「少しだけ、やってみるか」。まだ圧倒的な金額は手つかずのまま。今後も償還満期がくるので、どうしたものかと頭を抱えている状態なのではないかと思います。
 この「足下に貯まっていく資金をそのままにしておいてよいのか」という悩みは日本特有の状態ではなく、少なからず、世界全般に発生しているのでしょう。その少しこぼれた資金の受け皿として投資信託・ファンドに資金が流れ、その資金がまとまった資金で投資する投資主体と注目されるようになり、相場の底上げに寄与していく課程に入ったように思います。
 「誰がこんな水準で投資しているんだあ?」「投資信託らしい」「ふーん」
 「何に投資して良いか」に迷う投資環境が続けば続くほど、過熱感なき投信ブームが続きそうです。個人的には、大事な資産を人にただ委ねてしまうのではなく、「ただ現金で残しておくよりも、もっと有効な投資先はないのか」と検討し、自分で大事な資産の振り向け先を決めていってもらいたいと思います。
 投資のスタンスは変わらずです。
「納得する水準であれば、投資して果報は寝て待つ」
投資しないと決めているのなら、相場から離れて、他の有意義なことに時間を使う。