不安定な市場環境が続き、フライツークオリティの質への逃避が起こり、さらに不安が高まるにつれて、現金を確保する動きから流動性に難がある新興国株式、新興国通貨建て商品、そして金まで売られるようになりました。

 これまで通貨高に嫌悪感を示していた新興国も、いざ、自国通貨が急落する事態になると、慌てて為替介入などを行い、自国通貨の価値を支える動きに出ざるを得なくなりました。それは、自国通貨安=輸入インフレの進行→社会不安の増大への連鎖は絶対防がなければならないからです。
 昨日、ユーロ圏物価3%上昇を受けて、盛り上がっていたユーロの利下げ観測が後退し、欧州株が反落したと報道がありました。私は今回のユーロ危機が深刻化したきっかけは、ユーロがインフレを懸念して、景気回復が十分ではない状況にもかかわらず政策金利を1%から1.25%に引き上げた判断のミスだったと思います。当時も、市場ではユーロの勇み足と非難がありました。
 したがって、今後は景気回復の確証がないうちは政策金利の引き上げはできないでしょうし、場合によっては景気回復を優先して金利の引き下げをせざるを得ない状況もあり得ると思います。
ただし、政策金利の引き下げは大きな政策の転換を宣言する行為でもありますから躊躇があり、その前にやれることは、「通貨高の容認」です。通貨高を容認することで輸入物価の上昇を抑えます。ユーロも、新興国と同様に、ユーロ高を容認せざるを得ないのではないでしょうか?
 そこで、主体がない円は消去法的に円高ペースが緩み、円安への緩やかな転換もアリなのかなと最近の流れを見て感じた次第です。