AIJ投資顧問の件は、運用を失敗したとかの話ではなく、投資実績を嘘ついていた詐欺事件です。「そんなにうまい話があるはずがなく、何故、そんな話にだまされてしまったのか」と担当者を責めても、担当者自身も被害者であり、正直、気の毒にも思います。

 「どんな投資環境下であっても、利益を確保していくのがデリバティブ取引。どんな天候でも利益が期待できる全天候型の金融商品です」
 このようなデリバティブ取引を主体とする金融商品すべてが、AIJ投資顧問の一件のせいで、胡散臭く思われてしまうのも気の毒です。
 私の所にも
「前川さんもご存じだと思いますが、このファンドの成績は長らく非常に良い実績が続いています。少し、投資してみようと考えているのですが、どう思います?」という質問が来ます。その都度、私はこう答えています。
「何で、こんな投資環境下で、こんな良い成績が継続できているのか、理解できていますか?何かよく分からないけど、いい成績だったという金融商品は、何かよく分からないけど悪い成績だったという可能性も覚悟しておくべきですよ。もし投資するなら、結果に腹を立てない程度の金額の範囲内で行ったほうがよいと思います」
 運用に規制をかけても、嘘をつく人間がいる限り、根本的な解決にはなりません。むしろ、現行ある金融商品取引法の「商品の理解ができない人には売ってはならない。商品の理解ができない人は買えない」という原点を徹底することが大事なのだと思います。
 金融商品を買う人は商品内容を理解し、自己責任で投資できる人。理解していないのが明確なのに売ってしまった金融業者は厳罰。理解できていないのに、理解できている振りした投資家は完全に自己責任。この原点が徹底されれば、少なくとも投資家は、理解しようと努力して金融商品の説明を聞こうとするでしょう。理解して投資しようとする投資家が目の前にいて、しかし、理解できていない様子であれば、業者はなんとか理解して投資してもらおうとそのための工夫を一杯するようになるでしょう。
 「デリバティブって、そんなもんです」「そうですね。デリバティブってそんなもんなんですね」のやりとりで、契約してしまうことは、業者も投資家も失格ですよと徹底することが大事なのだと思いました。
 それから、もう一つ、気になったことがありました。消費税引き上げの時期の話です。株式投資では、株価の天井、底値は当てられないというのが常識になっていますが、「消費税を引き上げてよいのは、消費税を引き上げても景気の腰を折ることがないような景気の良い時を選ばなければならない。景気が下降するかも知れない時期に引き上げるべきではない」と議論されています。
 「この景気の状態なら、絶対、消費税を引き上げても景気の腰を折ることはない」なんて、誰が断言できるのでしょうか?それって可能なのでしょうか?
 実際、政府から発表される景気の山、谷を示す時期は、とうに景気が悪くなった時、とうに景気回復が定まった時、およそ1年半程度遅れて発表されるのが常でした。そんな政府に、絶対という判断ができるのでしょうか?結果論で、判断が間違っていたら責任を取り、政権与党を降りると宣言したほうが、真剣な議論が起こるのではと思いました。