最近、「これからが日本株投資の醍醐味」という専門家が増えてきたように思います。「ここから買えと言われてもねえ。もっと安いところでなぜ勧めてくれなかったか」と思っている投資家は多いでしょう。

 よく私は新人証券マンでお客さんを回っていた時に、「なぜ証券マンは高値で買わせるんだ。これも。これも。これも」と他社の営業マンから勧められて買って損をした銘柄のチャートを見せられて文句を言われたものでした。大抵の銘柄が節目抜けしたところ、つまり長い間抜けなかった高値を抜いて、いかにも上値を追っていきそうな形を示すものばかりでした。

 株式の買い方に、値上がりする過程で続けて投資する「順張り」と値下がりする過程で買い下がって投資する「逆張り」があり、一般的に株式は上昇トレンドが形成された時に「順張り」のほうが下落基調で下げの目処が立たない中で投資する「逆張り」よりも大きくやられることが少なく効率的だと言われています。

 そのお客さんは営業マンに「すぐに儲かるものを教えてくれ」と希望したため、節目抜けで、すぐにでも儲かりそうな銘柄を勧めてきた結果であり、結果論で営業マンばかりを責めてしまっては気の毒だなあと感じた覚えがあります。

 私は株式投資をせっかくやるなら「テンバガ-(株価10倍になる銘柄を当てる)」を目指します。そうするには、誰も株式を買わない、企業がつぶれるかもしれないと懸念される時に、すぐの上昇を期待せずに将来の株価十倍を心に秘めて投資する「逆張り」思考です。
 「順張り」はすぐの上昇を期待し、せいぜい2,3割の上昇をかすめ取ろうとするやりかたで、しかも、放っておけば、いずれ天井をつけ、株価は3分の1になることを覚悟しなければなりません。つまり、割高なところでは確実に売却できる人でなければ、いずれ高値づかみになるわけです。
 したがって、ここから日本株投資で稼ごうとする人は、万一の際には売り切る自信がある人に限られます。そのため、私はここからは日本株投資よりも外債投資のほうが検討する価値が高いという考え方をより強くしています。

 「日本株は高い」「円高が怖い」という日がいずれ来ます。その時は、「一つにまとめると資産は守れない」と複数の対象を同時に保つ「バランス型投信」を勧められても買わず、1年間は売れない個人向け復興国債を選び、「煩悩」を払うこと。それが資産を守る良い方法だと思います。このことを、今のうちに少しだけ覚えておいてくださいね。

 これまで言ったこともないのに「今から日本株式を買え」と声高に言い出した人がいたとしたら、その人は短期的な意味合いで言っているのか、それとも長期の視点でもOKとしているのか、なぜそう考えるのかの根拠を確認し、その人の顔をよく覚えておきましょう。その人が「日本株は売り」と宣言する日があったか。「根拠は節目抜けのチャートだけ」なら、お愛想程度に参考にすれば良いと思います。