相場が強くなってくると、「リスクはもちろんあるけど、いいものがありますよ」と今まであまり聞いたことがないようなものを勧められることが多くなります。


 「やっと日本人も買えるようになってきました。過去の成績は立派なもんでしょう?これからはもっと上がることが期待できますよ」


 だいたい、この水準までくると大抵のモノに割安感はあまりありません。にもかかわらず、「人の目にさらされず、割安に放置されてきたモノ」などあるわけがありません。

過去の成績が立派なのは事実でしょうが、今後も同じように高い実績を残す保証はなく、むしろ「過去の高い実績」は今後の投資に慎重であるべきです。


 もし、今まで聞いたことがない対象で「これはお勧めです」と言われたら、「その対象からどの程度のリターンが期待できるか」を自分で目安が立てられるかを考えてみてください。


 投資は、「これぐらいのリスクを取っても、これぐらいのリターンが期待できるならやってみる価値がある」とリターンとリスクが見合ったときに行うモノです。


 「お得ですよ」と言われても、自分でどの程度のリターンが期待できるかの目安もなく、当然そういう場合はリスクの見当もつかないはずです。リターンもリスクも相手任せで行き当たりばったり。これは投資ではなく無謀です。投機に手を出すよりも始末が悪いです。投機には賭けるモノが明確だから負けても割り切れますが、「人に言われて納得せずに大損する」と気持ちを立て直すのは大変なことです。


 「リターンの目安の立たない私は投資に手を出してはいけないということですか?」

そう聞かれれば私はその通りだと申し上げます。「いつ売ったらよいか」の目安を持たず、買って放っておいて儲かるほど今の相場水準は割安ではなく、ここから大きく持ち上げられたら、反動でドシンと大きく下げる場面がやってくることを覚悟しなければなりません。


 「5年、10年やられても持ち続ける覚悟」があるなら、「5年、10年様子を見て割安だと思う場面をじっくり待つ覚悟」をしたほうがいいでしょう。


 米国雇用統計の数字を受けて、改めて株高・ドル高に大きく戻ってきました。株安・ドル安を待っていた人はどれだけ安いところで仕込めたでしょうか。売って儲けられた人よりも、慌てて買い戻して損をした人のほうが多いように思います。

 「売って儲からないようであれば、やはり買いか」と再び買い方に分がある週になると思います。日経平均株価の15000円、1ドル=102円の大台は更に固くなりました。一方で、強行採決の幕引きは政治リスクを更に意識させるものになりました。楽観は禁物。気持ちの切り替えは必要です。