「あんなに利回りが低く、割高になっている国債を買うぐらいなら株式に投資した方がいい」という考え方に、どうしても納得が行かない私です。利回りの低い債券に投資しないのは理解できますが、だから、高値を警戒している一般の投資家向けに株式投資を推奨するのは無理があると考えます。高値に慎重であれば、思い切って投資の様子を見たっていいのです。


 ユーロ危機が発生したときに、国債の信用力さえも疑い、ギリシャ国債が30%、ポルトガル国債が14%、イタリア国債・スペイン国債が8%程度まで利回りが上昇する事態は異常でしたが、ユーロ危機で明確になった課題を現在も引きずる欧州国債の利回りが大きく低下して、利回りが低いと文句が出る米国国債とさほど変わらない3%割れの利回り水準にあるのも異常だと考えます。


 欧州と同様に、日本も短期国債の利回りがついにマイナス金利になったとのこと。これも異常と言えます。異常な高金利から異常な低金利に。異常から異常へと振り切った後は、その異常さの大きさに比例して再び異常に振れる事態を覚悟しておいたほうがよいと考えます。

 金利が短期間に上下するような環境で、投資で成果を上げるのは難しく、リスクを落とすためにはリスクの量を絞るしかありません。したがって、最近の市場売買規模の縮小傾向や行き所を見失った資金が足下に滞留して金利が低い状態は自然なあり方だと思います。


 にもかかわらず、「景気は更に良くなる」「景気の落ち込みはない」「株は上がる」と相場を持ち上げようとするかけ声が満載で官製相場という言葉にうなずけます。


 先週からポルトガル国債が上昇を見せるなど、ユーロが抱える問題が再び注目されるようになってきました。異常事態で低くなりすぎた欧州金利が底を打ち、これまた低金利で魅力のない米国国債の利回りに上昇期待が出てくると、足下に貯まった金余り資金をどう活かすかを考えるきっかけとなり、相場が動くかもしれません。


 しばらくは、以前騒がしたポルトガル、ギリシャ国債などの金利動向のニュースに注目したいと思います。