これまでずっと聞く度に引っかかっていたのが、「物価上昇を良し」とするムードです。デフレからの脱却を実感できる指標として物価が上昇する数字を誇らしく宣伝するのは少しわかる気がしますが、やはり、物価上昇を喜ぶには、それ以上に自分の懐が増える「可処分所得の増加」がないと実際はハッピーな気分にはなりません。


 経済成長期の日本、池田内閣時の「所得倍増計画」は非常にわかりやすいですね。みんな頑張ろうという気になります。サービス業では、もうけが出て困っている状況にはほど遠いカツカツな環境にもかかわらず、人が集まらず、収益を削ってもバイト代を上げて今をしのがなければ廃業を決めるしかないとぼやく経営者の声が多くなってきているという話も聞きます。


 多かれ少なかれ、どこの企業も収益を削り、人件費等のコストアップに対応する流れ。したがって、収益の増大を期待して株価が上昇するという株価の構造を考えるなら、やはり当面は収益率が落ちるため、株価の上昇ピッチが鈍化し、あるべき妥当な株価水準を探る踊り場にあっても不思議に思えません。


 しかし、足下の金余りからは目が離せません。どこに流れるのか。株価も為替も金利も小動きを繰り返し、大きな動きがしばらくありません。このまま動かない状態がずっと続くはずがなく、足下の熱気と上空の寒気がいたずらをして投資のゲリラ豪雨がいつ始まってもおかしくない。戸締まりを十分にして準備しておいたほうがよい状態が続いています。