ピムコは債券運用で知れた世界最大級の投信運用会社。1971年から運用を開始し、旗艦ファンド「トータル・リターン・ファンド」が有名で、金融危機以降、個人での運用が難しくなった債券の投資環境で、私は外債運用の受け皿として、このファンドを提案し続けてきました。


 このファンドは、不思議なファンドで、トップで運用の指揮をふるう債券王「ビル・グロース」はしょっちゅう大きな流れを間違える。「金利は上がる(下がる)」「米国債は売られる」「株式は下がる」。こうした相場展開を大きくはずしても、実際の実績はそこそこのもので仕上げてきたように私は見てきたファンドです。


 つまりトップが相場展開を間違えても、その相場展開の外れに対するマイナスを小さくし、プラスに変えていく「リスクコントロール」の効いたファンドだと評価してきました。


 ところが、2013年の成績はマイナスで旗艦ファンドから16ヶ月資金が流出事態となり、今年1月には運用看板のひとりであったモハメド・エラリアン氏が退任し、そしてこの26日には債券王と異名を取ったビル・グロース氏が勇退ではなく、退任に追い込まれたと噂されています。


 ビル・グロース氏を切ることで、ピムコという運用会社は改善に向けての危機感と生き残りを賭けて大きな勝負に出たようです。「市場平均なんてくそくらえ」というアクティブ型ファンドのシンボルとして、ピムコ、そしてトータルリターンファンドを応援してきた私にとって、残ったピムコのメンバーに「ピムコがピムコであること」を強く期待したい。


 私がピムコに好意を持ったのは、ピムコという運用会社をどうしたら理解してもらえるかと説明してくれた国内のプレゼンターが、本当に債券投資が好きで、ピムコという会社を好きで、目に会社へのラブを浮かべた人を通じてでした。


 多くの社員は、会社が大きくなるに連れて、大企業風に吹かれてしまい、個々人のファイティングスピリッツや情熱が表に伝わって来なくなります。10年ほど前のピムコは、日本でピムコを知ってもらい、多くの人に利用してもらいたいと一生懸命だったと思います。しかし最近は、債券投信というとピムコのものが目立ってきたのですが、ピムコという看板に甘えてしまったのか、以前の主張がなくなり、物足りなさを感じていたのは私だけではないと思います。


 是非是非、普通の投信ではなく、今後も専門分野でとがった投信であってもらいたいと願う限りです。