大方の専門家がやり遂げることを疑っていた米国の量的緩和策の縮小が粛々と実行され、「もしかしたらできるかも」と考え出した春先ぐらいから、ドル高・ユーロ安へと動き出しました。特にユーロ危機が深刻化する中で大きく売られたイタリア国債などの利回りが米国国債の利回りと同程度まで低下し、割高になっている状況を改めて気づき、投資家の中には「さすがに、この状態は長続きするものではなく、買われすぎかも」と考える人が増え始めたように思います。


 そして6月頃からは大きくドル高・ユーロ安が進行し、しっかりしていたドイツ株式さえも徐々に頭を重くする展開に入りました。


 この10月に入ると株式も為替も大きな値動きになってきましたが、これは国を越えた資金移動が顕著になってきた証だと言えるでしょう。特にここ最近の円高は、円安の進行が速すぎたための調整が主要因だと思いますが、私は、ユーロ資産からドル資産以外の道を模索した結果、米ドルの次に流動性のある円に逃げ込む動きが重なったように考えています。


 今後も基本、ドル高基調だと考えますが、円が安ければユーロから資産を振り替える動きは繰り返しあり、思わぬ円高に振れる場面を常に覚悟しておいたほうがよいと思います。


 ただし、だから日本株が買われると決めつけるのは無理があり、換金性が高い短期の日本国債のニーズが高く、そのため日本で金利上昇を心配する時期はまだ相当先になると思います。


 確定拠出年金の掛け金上限を引き上げる案が厚労省から出ていますが、将来の年金支払いに現在のシステムでは無理があるのなら、自分の責任で自分の年金を守って増やす流れを膨らませていくしかありません。そういう意味では、税収が減るとか一時の損得ではなく、確定拠出年金やNISAの仕組みを国民目線で高めて、「使わねば損」という認識を広げるものにせざるを得ないでしょう。


 ただし、多くは「年金を確保するのは個人の責任」と丸投げされても困る人なので、もっと積極的に投資の助言を受けて行う仕組みを整備する必要があります。私の経験では、投資の助言なしに初心者が投資を始め、継続した成果を上げている人にほとんど出会ったことがありません。多くの人にとって、投資の助言を受ける機会は必要です。一方で助言を受けても、「この人は投資に向かない」人がいますので、その人達のために、現在のように国任せにしてもいい方法も残しておく必要はあると思います。


 確定拠出年金もNISAも、すなわち、「投資するなら税優遇するよ」という国の方針を明確にしなければなりません。