個人的には、株高・円安が大きく進み、にんまりしていますが、先日の株高・円安の幅の大きさにはビックリしています。海外では日経平均株価先物が17000円台に乗せ、1ドル=113円までのドル高・円安となっています。

 時期は別にして、「やるべきことはいくらでもある」と大見得を切った黒田日銀が景気停滞色が強まる中で追加緩和の一手を打たざるを得ないだろうことは誰もが想像していたところ。にもかかわらず、これだけ日本株が上昇したのは、今年の決算として、「株式が下がって大もうけ」にかけたヘッジファンドなどの外人投資家の売りが相当あり、この買い戻しが上昇に弾ませた、本当に売仕掛けをしていた投資家さんは気の毒です。

 黒田総裁の今回の決断で、正直、私は「えらい人が日銀のトップに立っちゃたなあ」という印象を持ちました。日本銀行は物価の番人であるはずなのに、インフレを奨励し、株価を上げるために血道を上げる黒田総裁は、日銀ではなく、やはり感覚は出身の財務省なのだと。

 割高な国債の新規発行相当額を日銀が買い取り、市場規模が小さなリート、誰もが高値警戒で二の足を踏み出した日本株の上値をさらに買っていく宣言は、普通の投資家であれば、不当に上昇相場を煽る相場誘導の疑いで罰せられる行為と言えるでしょう。

 よく黒田総裁は、「やれることはまだまだある」と言っていましたが、今回の緩和策の後に打てる手にどんなものが残されているのでしょうか?日銀は世界でもトップクラスの投資家規模になってきました。投資は「安く買い、高く売る」手入れが必要で、ずっと買い続ければ、いずれは大きな損を被ることになります。投資戦略には、常に最悪の事態を想定し、対応の選択肢を持ち合わせているものですが、黒田日銀総裁に投資の出口戦略はできているのでしょうか?

 「だってここで株式市場を支えないとデフレからの脱却への道を台無しにしてしまう。仕方ないじゃん」

 これは、「日本の経済成長のためには原子力発電の再稼働は必要だ」と核のゴミ対策を二の次にしているのと同じ構図のように見えます。

 いずれにしても、日本の歴史に名を残したい「総理」と「総裁」を同時期にトップにかかげたおかげで、株高・円安に振れやすい相場が続きそうです。1989年に日経平均株価が32000円を抜いて年末38957.44円まで一気に上昇し、その翌90年に20000円割れまで急落したイヤなイメージが重なります。

 株価上昇で国民の期待を増幅される方法にはもはや限界にきていて、「岩盤にドリルをあてて、未来を予感させる」実行に時間的な猶予はありません。引っ張ってきた成長戦略がカジノ構想では余りにも興ざめで、成長加速の本気度を疑います。

 目先の株高・円安に喜びつつ、先行き相場展開に頼りなさ、心細さを感じ、気持ちは複雑です。