本日の日経記事に、顧客との長く深い関係を築くために証券各社が①営業社員の雇用を70歳まで伸ばす、②相続相談など運用以外でも相談できる窓口になる工夫をする、③金融知識が豊富な女性社員の復職を支援する動きを紹介してました。


 投資家との投資トラブルを防ぐために、これまで細かな販売ルールの決まりが増えてきました。それでも、金融トラブルが絶えないため、その都度新たなルールが積み上がり、コンプライアンスに対応するコストが高くなりすぎて、対面での金融取引に消極的になってしまった金融機関が増えました。


 年齢が75歳を越えると高齢者取引という範疇に入り、まともな金融機関は積極的な提案を控えるのが普通です。しかし高齢者であるがゆえに人の助言をもらいたいというニーズは高く、そこにつけ込み、不当な勧誘を行う悪徳業者につけいる隙を与える悪循環にあります。もし、その人にまともな金融機関とのつきあいがあり、助言をもらえるまでの関係がキープできていれば、「こんな提案があったのですが・・・」「その話は危ないですよ。気をつけてください」というやりとりができて防止できることも多いはずです。


 「お金回りの話で相談できる人が近くにいますか?」と聞かれて「います」と答えられる人は本当に少なくなってきました。


 これは金融監督庁の指導が効き過ぎていることだけに問題があるわけではないと考えます。むしろ、現場に投資を提案する目利き力(この人にはどんなニーズがあるのか。そのためには、何を提案したら良いか。提案する時に何に注意すべきか)が非常に落ちていて、金融機関のトップが現場に任せられない状態を放ったらかしにしているからだと思います。


 必要なところにお金が回らないのも、一律の貸し出しマニュアルが判断基準で、その人を見て、案件を見て融資できる器量が現場にないか、任せられていないことに問題があるのだと思います。


 「年を取っているからと面接まで行き着けない。年を取ったのは俺のせいではない」と再就職の無念さを訴える先輩がいました。人を見て、能力を見た上で断れ。高齢者など表面的な条件だけで一様に取り扱いを決めてしまうのは管理する側には楽ですが、その人本人にとっても、金融機関の存在・あり方を考えても改善が必要です。


 規制が現実離れして行き過ぎがあれば見直し、プロとして現場を育成するのが金融機関の役目です。それができない金融機関はあれやっちゃ駄目、これやっちゃ駄目の決まりを守るしかありません。

 一方、意欲ある金融機関は、特徴を出して、顧客のニーズをどんどん取り込む工夫を重ねていけばいいのです。顧客も金融機関も一律なルールに押し込めて指導することに無理が来ていると思います。