「ラップ口座を勧められています」という話をあっちこっちから聞きます。証券会社も銀行も、金融機関はどこも熱心です。各社、同じようなリーフを持って熱心な勧誘です。


 「どの投資対象が良いかなんて、最近では専門家でも見定めにくくなりました。こういう状況では、当たり前ですが、1つに投資対象を絞らず、分散投資に徹することが大事です。そこで非常に人気があるのがラップ口座です。お客様の投資目的に合った投資対象の配分を、お客様から伺ったアンケートを基にプロが提案します。もちろん、プロの助言アドバイスももらえますから安心です」


 「どの投資対象も高いように見えて、その中で投資対象に適当なものを見つけることは個人には難しいでしょ?お客様はいかがですか?」


 と畳みかけてきます。実際、ラップ口座は昨年から大きく売れましたし、現在までのところ、多くの口座でプラスのリターンでもあり、営業マンは自信満々、ついその自信満々の声音に投資家は引き込まれがちになります。


 私の感触では、投資経験があり自分で考えられる人はラップ口座の取り組みに慎重ですし、投資したとしても、とりあえずという額に抑えて投資している人が多いようです。しかし、これまで投資経験があまりなく、投資に迷いのある人の中には提案を受けて、昨年から追加追加で結局、ラップ口座への投資額を数千万円まで増やしている人も少なくないようです。


 個人的には、大きな相場の崖を意識する人であれば、分散投資に過大な期待をかけるラップ口座よりも、リスク資産の量を絞り、投資するのであれば、自分で投資対象として確信が持てる対象にむしろ絞って投資したほうがよいと思います。


 思いだしてください。ついこの間まで、金融機関の担当者は何を言っていたか。


「今は米国株式です」「今は欧州株式です」「今はリートです、MLPです」と個別具体的な対象を堂々と勧めてきたではないですか?そのそれぞれが高くなってしまって、どこまで買い上がっていいか、わからなくない投資環境になったから、


 「投資に迷うなら割高かも知れない投資対象をパックで買ったらいい」とラップ口座を勧めるようになったわけです。「割高で手が出ない環境で無理して投資する必要はありません」と助言するぐらいの担当者のほうがまともですね。加えて、私であれば、以前投資したラップ口座で利益が出ている投資家であれば、「増えなくても大きく損することがなければいいとやったのに、こんなに早く利益が出るようになったのはラッキーだ」と利益確定して、たとえば、変動金利型10年個人向け国債を買い付けて、投資環境が落ち着くのを待つ提案を行います。


 分散投資をしていれば「損をすることはない」は間違った認識です。分散投資を行っていても、大きく損を抱える可能性はあります。ただ、集中投資を行った結果の損の大きさよりも小さくてすむ可能性が高いだけです。投資を継続する以上、分散投資をしていても、損を抱えてしまう覚悟は必要です。