今年の春以降、明らかに黒田日銀の金融政策に対して市場の期待感が落ちてきています。最近では、日銀のETF買い、国債買いを材料に強きの意見を言う専門家は減ってきて、むしろ、ETFや国債の買いで支えてきた日本株相場やマイナス金利をいつまで続けられるのかと期待からの暗転を心配する声を無視できなくなりつつあるように思います。

 金融庁は、昨年、国債のマイナス金利で外債投資に走り、円高・金利上昇で大きな損をしたと地銀を注意しました。そして、今朝の日経新聞記事では、地銀が保有している国債や外債が金利上昇した場合に「どれだけの損が見込まれるか」を計算させて、自己資本に見合わないリスクを抱えて運用している先には業務改善命令を出し、自主的な改善を促すとありました。

 運用のプロであるはずの金融機関が運用の内容にまで行政の指示を入れられないとリスクコントロールができていないのも情けない話しですが、そもそもは黒田日銀が2016年1月にマイナス金利を導入し、国内金利の市場機能を壊してしまったことが発端です。

 大事な運用の柱である債券運用を無力化させ、マイナス金利をいつまで続けていくかも環境次第とうそぶいて債券売買は虫の息となり、しかも債券保有者は売るに売れず、「大きな評価損を抱えることになりはしないか」と不安は高まっています。金融庁としても、「確かに金融機関側にも問題はあるけど・・・」と遠回しに日銀に意見しているのだと思いたいです。

 一部には、金利が上昇し株価が暴落して、日銀の保有する国債や株式に大きな損が生じても、原価の安い紙幣を刷りまくって(つまり、刷れば刷るほど日銀は儲かる)買い続ければ、売られすぎた価値はいずれ戻るから中央銀行である日銀の腹は傷まず、問題はなしという声もありますが、同じように保有している金融機関や個人投資家は、自分で紙幣を刷ることはできないのでたまったものではない。非常に無責任な話しだと思います。

 やはり、日銀は2年で成し遂げることを4年経ってもいつできるかわからないことをただ引っ張らず、それこそ、金融庁が地銀に注意したように、日銀においても「どんな損失が見込まれるのか」「その際には、どんな状況を投資家には覚悟してもらい、そのとき、日銀・政府はどんな対応の選択肢があるのか」を示す時期に入ったと思います。

 

 現実的ではありませんが、金融庁には日銀にも地銀と同じ対応を望みます。