「たばこ買ってきて」と用事を頼み、お礼としてお駄賃を上げる。「こんな家にしたいんです」と自分の要望を伝え、気づかなかったことまでアドバイスをもらい、結果よい家を建てるサポートをしてくれた。この時の報酬をお駄賃と一緒にしては、プロのやる気を削いでしまいます。よい仕事に感謝し評価してもらえるから、もっとよい仕事を目指して頑張れます。良いもの、欲しいものは、値段が高くても見合っていれば買うという時代になりましたが、金融の世界ではまだ安売り競争が続いています。
 先日、ある運用会社の人が「投資家からは手数料を下げろ」、「販売窓口の金融機関からは手数料が安いと売る気にならない」と、板挟みにあって、結局運用会社の受け取る報酬を削る傾向が続いていると嘆いていました。それでいて、相場が悪くなり投資家から問い合わせがあると、販売窓口の金融機関は自分で対応せず、運用会社に丸投げをする。これでは、プロの仕事を求められている運用会社が気の毒です。運用会社にはきっちりプロの仕事を実績で残してもらい、それに見合った報酬を取ってもらう。ただ販売するだけで、すべてを丸投げし、投資家のフォローができない金融機関には手間賃だけ払う。
 前にもこのプログで書きましたが、手数料の名目を事務手続き以外は期待できない手間賃なのか、付加価値があるアフターフォローが期待できる報酬なのか、サービスを受ける前に明確に宣言して、手数料の意味に責任を持たせるわけにはいかないのでしょうか。
 手数料の高安はサービスの質によるものであり、そのサービスの質の違いが投資家に伝わらないから、手数料の高安だけに注目が集まってしまう。このままでいくと、質の高いサービスは仕事をきちんと評価し高い報酬を払ってもらえる人だけのものになってしまうと思います。投資家側も、「この手数料でこのサービスが受けられるなら得だね」と是非良い仕事に対しては評価して、褒めてあげてください。
 「手数料は安い方がよい」という認識が「安くすれば売れるのか」という粗悪品乱造につながり、投資家の信頼を裏切る結果になることを懸念します。あなたが受け取る手数料は手間賃、それとも報酬?投資家のサービスの質を問う厳しい目がプロを育てます。