キャノンマーケティングジャパンという会社が金融機関向けに「投資商品の顧客説明が十分なのか」をチェックするシステムを開発したそうです。顧客に投資商品の説明を徹底させる金融商品取引法が今夏に施行される予定で、金融機関の間では、これまでの投資商品の説明方法が十分であったか、今後の取り扱いで改善点はないのか、と神経質になっています。
 投資商品を販売する際に、「顧客のニーズにあった商品なのか」、「リスクの説明は十分であるか」、「顧客の商品に対する理解は十分であるか」などを、チェックし、クリアした上でないと販売することができない。こういった事柄はもちろん、顧客保護の観点から大事なことです。
 しかし、顧客に投資商品を販売して、万一その後のトラブルになった場合でも、顧客の自己責任として「金融機関が負けないための方策である」という風に、ヒアリングが目的になってしまうと、顧客にとって不愉快なものになりますし、顧客も迂闊にサインしては自分が不利になるかもしれないと金融機関を不信に思う気持ちを強める怖れもあります。金融機関は顧客のニーズを組んで、それにあった投資商品を第三者として選択肢を示してあげる「水先案内人」の立場が理想だと思います。あくまでも選ぶのは当人で、選べるだけの判断が出来るように助言することが必要です。「訴えられる」「訴える」といった敵対する立場を前提にして、よい投資助言ができるわけがありません。
 投資は車の運転と同じで、車を運転したいと自分で思った人が勉強して、試験を受けて、免許を取りに行くものだと思います。ドライブしたいとか、仕事に使いたいとか、年老いた親の足になりたいとか、車を運転する動機は異なるでしょう。いざ初心者が車を購入しようと思っても、どれを選んだらよいのか、選ぶ際のポイントはどこなのかなど、人の助言がないと途方に暮れてしまい、買える値段で選んでしまったり、人気のある売れ筋を選んだり、してしまいがちです。
 車は自分の動機・目的を達成するための道具です。車を買うこと自体が動機でも、目的でもありません。投資も同じです。投資することが目的ではなく、目的を達成するための手段でしかありません。しかし大抵の人は自分が投資をやる意味を明確に持っていませんし、明確な人でも何を使ったら達成できるのかをイメージできる選択肢を持ち合わせていない人が多いです。金融機関にとっては、顧客トラブルを避けるための過不足のない商品説明よりも一歩先の、顧客との投資相談がスムーズにできる環境作りを心がけてもらいたいと思います。そのためには、顧客が自分で判断するために必要な投資教育の場を多く提供することです。そして、「投資家の理解さえ進めばきっとお客様は商品の良さを理解してもらえる」という、第三者として評価した優秀な商品の品揃えをはかることです。
 投資家の皆さんは、まず自分の投資目的を確認しましょう。投資に何を期待するのかに注目してください。そして、それを達成するにはどんな商品があるのか、選択肢は多いに越したことはありません。そして最後に、今投資をすべきかどうかを自分の納得で決めましょう。
 「どこから手を付けたらよいかわかりません」という声が聞こえてきそうですが、それをサポートするのが金融機関に求められていることだと私は思うのです。
 顧客説明が十分なのかをチェックするシステムが必要なのはわかりますが、それが解決に向けた一歩なのかというと、はなはだ私は疑問です。