証券会社の収益が落ちています。手数料を下げたにもかかわらず、個人の株式売買が以前に比べ低調な状況が続いているからです。収益が上がらないのは「他社よりも手数料が高いから」、「あれがないから、足りないから」と、他社との取引条件の優劣を理由に挙げます。
 新興企業の中には「見込んでいた求人が集まらなくて収益機会を逃している」と、人材不足を売り上げ減少、利益減少の理由にします。
 本当にそれが原因なのかァ?証券会社の件で言えば、投資家は手数料が安いに越したことはないけど、個人の売買が低調なのは、証券会社の手数料などの条件に不満だからではなく、「投資とどう向き合うのか」に迷いがあるからではないでしょうか。それに応えるべく、証券会社の具体的な行動が見えてきません。「あの証券会社は、ただ手数料が安いだけじゃないんだよ」という、プラスアルファを喜ぶ投資家の声が聞こえてきません。
 銀行は今どこも、ATM手数料の無料化で顧客の囲い込みを行うようになりました。「業績が良くなったんだから、自分の懐を考えるよりも預金者に還元する方が先だろう」という預金者の根深い不満に耳を傾けたひとつの表れです。顧客サービスは、新しく何かをひねり出すものではなく、今ある不満にどう応えていくかの方が即効的だと思います。
 証券会社は、今こそ投資家の不満に耳を傾け、状況把握を行い、一歩解決に向けて踏み出すときだと思います。
 タクシー業界では値上げ申請が相次いでいます。過酷な労働環境改善のためですが、顧客はただ単なる値上げには反対です。顧客離れを防ぐため、一部タクシー会社は高齢者や子育て世帯が利用しやすい工夫をしたり、初乗りは高くなるけど一定距離を超えると以前よりも安くなる料金体系を工夫するなど、料金値上げが利用者にもプラスになるというアピールをしています。
 利用者はサービスの質に違いが見えないから「料金」の安さにこだわります。サービスの質が高ければ、それに見合った「料金」を支払うのは当たり前という利用者はたくさんいます。質が高いことが利用者の間で口コミで広がり、遠方からでも探して来てくれる「うまいもの屋」や「お医者さん」など、良い例はいくらでもあります。
 証券会社が相場の停滞を業績低調の理由にしているうちは、証券会社の持つ体質は全然変わっていないということでしょうか。残念な話です。