日興アセットの財産3分法ファンドは国内で初めて、株式、債券に加えて不動産投信を投資対象にしたファンドです。現在残高は1兆3900億円。残高が1兆5000億円になった時点で、運用の安定性を確保するために販売を一時停止すると運用会社からの発表がありました。このファンドは運用方針で運用資金の4分の一をJ−REIT、4分の一を日本株式、半分を外国債券に当てることを宣言しています。つまりこのファンドは、いい悪いにかかわらず、原則、この割合で投資しなければならないということです。つまり約1兆4000億円ある資金のうち、3500億円でJ−REIT、3500億円で日本株式、7000億円で外国債券に投資しています。外国債券の投資対象の規模は数千兆円と言われています。日本株式の東証一部上場企業の時価総額は約555兆円。J−REITの時価総額はそれに比べて、思いっきり小さな約6兆円しかないのです。買おうと思っても6兆円しかないのです。
 日本株投信でさえも、運用資産が1兆円の規模を超えると、自分の買いで相場を上げてしまい、自分の売りで相場を下げてしまうと言われています。555兆円ある日本株式でもです。
 財産3分法のJ−REITに投資された3500億円と日本株式に投資された3500億円の重みの違いがおわかりでしょう。
極端なことを言えば、財産3分法の運用残高が24兆円になったら、J−REITを全額買わなければ公約が果たせないわけです。これは現実にはありえませんが、J−REITに投資するファンドはこのファンドだけではなく、たくさん存在します。最近ではオーストラリアのファンドでJ−REITにだけ投資する外国籍投信も設定されるぐらい、海外でも注目されています。売る人よりも圧倒的に買わなくちゃいけない人の方が多いわけですから、価格が上がらないわけがありません。
 しかし右肩上がりの上がりっぱなしの相場はいずれ下げ相場に転じます。
 これ以上運用資産を膨らましていくと割高な水準と知りつつ、J−REITを買わざるを得ず、もし下がり始めたときに、大量に抱えすぎていると売るに売れない、自分の売りで相場を崩しかねないため、販売中止は既存顧客の資産を損なう結果を回避するためのギリギリの選択といえるでしょう。
 急ブレーキは踏んですぐ効くわけではありません。相場は行き過ぎるもの。現在のJ−REIT相場は上昇の何合目?、あとピークまでどれくらい?、すでにピーク近辺?、もしかしたら越えている?目が離せません、今後のJ−REIT。