人から運用を任されたファンドはお金がある以上運用しなければなりません。個人であれば、買おうが買うまいが個人の自由。運用する気がなければ止めたらいい。ところが、ファンドの担当者は厳しい環境であっても相場から逃げることが出来ないので気の毒に思う場面が多々あります。
 大和ハウス工業は2008年3月をメドに不動産投信の上場を予定していました。その際に同社はファンドが組み込むのに適した物件を準備してきたようなのですが、その物件に内外の不動産ファンドから高値での売却要請が相次ぎ、しかも同社が想定していた売却価格を大きく上回る購入希望価格のものまで現れて、不動産投信の上場を1年ほど延期することに決めたそうです。
 というのは、想定した価格を上回る購入希望価格が現実にあるのに、想定価格でグループ内の不動産投信に売却すれば大和ハウス工業の株主に対する背信行為になりますし、逆に購入希望価格で不動産投信に購入させれば、不動産投信が想定よりも割高な物件を持つことになり、投資利回りの確保が危うくなるからだそうです。
 ここで改めて不動産物件の厳しい取得競争の様子が確認できます。この明らかに割高だと考えられる物件をどこが取得するのでしょうか?お金があるとやはり買わなければならないファンドがあるんですね。大和ハウス工業の不動産投信はまだ上場していないため、運用しなければならないお金がないため、投資のタイミングをずらすことが可能でした。
 しかしこの上場を控えた不動産投信も2009年3月までには1000億円の物件をファンドに組み入れるメドを立てなければ上場ができません。既存のファンド、そして今後上場を目指すファンドの物件取得競争はまだ続きそうです。
 ここで大事な視点は、その後の不動産投信の損益は全て投資家のものということです。物件を売却した不動産会社、不動産投信の運用者ではありません。そう考えると、投資家としては物件価格の急騰を喜んでばかりではいられません。
不動産投信の投資判断はますます専門性の高さが求められる環境になってきました。