株式相場、為替相場の水準は、中長期で見れば割安な水準である一方で、長期金利は割高な水準であると考えています。米国10年国債利回りは一時5.25%を上回る場面がありましたが昨日は4.59%まで大幅に低下。日本10年国債利回りも一時2%台にありましたが、こちらも大幅に低下し1.54%。この動きは、サブプライム問題の収拾のためには日米は政策金利等の引き下げにより市場に安心感を与える政策をとらざるを得ないという見方が背景にあります。以前もご案内しましたが、米国10年国債利回りが4.7%を大きく下回る状態は、「近い将来政策金利は下がる。何故下げないんだ」と市場が催促している状態で、政策金利の引き下げを前提にした水準だと言えます。また日米の10年国債利回りの差は最近では3%程度で推移していたことを前提に考えれば、米国の4.59%を前提にすれば、日本の1.54%の金利水準は更に割高になっているとも言えます。
 同じ中央銀行でもスタンスがはっきりしているのはヨーロッパの欧州中央銀行。今回のサブプライム問題で、米国以上に市場の動揺を抑えようと早めに大量に資金供給を行いましたが、未だにインフレに対する強い懸念を表明する態度は変えず、これまでのスタンス通り9月は政策金利を引き上げるのではと噂されています。つまりサブプライム問題の動揺を抑えるための対応はするけど、インフレ退治の政策金利を引き上げる姿勢は変えないという強い意志を感じます。
 各国中央銀行はこれまでインフレ退治のために金利を継続して引き上げてきました。その結果、金余りが修正され投資マネーが収縮し、一時的に株価が下げ、景気が減速するのは仕方ない。それよりも、資源価格や食料品価格などが高騰するインフレが現実になり、金利や為替が乱高下し、市場機能が壊れ、経済そのものが台無しになってしまうことを怖れていました。
 一時的な株価の下げや円借り取引の巻き戻しによる円独歩高は想定内だったでしょう。ただ中堅金融機関が破綻する事態を放っておくと信用危機(クレジットクランチ)が起きて、意に反した大幅に金利を低下させる政策を市場から催促されるのは避けたいと、中央銀行はサブプライム問題の対応で頭を痛めている状態にあると思います。資源価格や食料品価格が急落する状況があれば別ですが、中央銀行としては「サブプライム問題の収拾のためにはあらゆる手段を考えている」と金利を引き下げる風を装いながら、出来れば時間稼ぎをして、再び引き上げる機会を狙っているように私には見えます。
 したがっていずれ割高になっている金利の修正が入ると考えているので、金利引き下げを前提にした現在の長期金利には全く魅力を感じません。またそれを期待して株式相場や為替相場が今後動くのであれば、痛いしっぺ返しがあるかもと私は慎重です。
 この投資環境で中央銀行が金利を引き上げることはないでしょうが、インフレ懸念が落ち着くまで中央銀行が金利を引き下げることはそれ以上にないと考えています。「政策金利引き下げ織り込み済み」の市場に危うさを感じています。