金余り、内外金利差の大きな開きから、当たり前のように円独歩安が進行していた時は、海外から円高に振れて戻ってきても、東京市場では、いつの間にか円高の押し目には買いが入り、再び円安に戻っていました。積極的に押し目買いを入れていたのは日本の個人投資家という見方が大勢を占め、プロの投資家は為替相場の行方を探るには、日本の個人投資家の動向から目が離せないと注目していました。
 時は代わって今、この2日間、これまでと逆の動き、つまり海外から円安に戻ってきても、東京市場で円高に振れる現象が起こっているように私は感じました。
 8月14日−17日で、記事の報道では外国為替証拠金取引の投資家は2000億円から3000億円損失が出たとか。短期間で大きな損をすると、なかなか気持ちの切換えがむずかしいものです。
最近は円安、円高に小刻みに大きく為替相場が動くため心中穏やかになれず、「一時的にやられていても、長く持っていれば利益が出る」と、外貨投資をゆったり行う気分になれない人が多いと思います。つまり今まで円安を疑わず円を売り続けていた人の数が減っている。
また企業は米ドルが115円を超えてくると、もっと円安である水準を期待する一方で、やむなく一部だけでも為替をこの水準で固めて、決算数字が円高で下方修正する事態を避けようとする潜在ニーズがかなりあると思います。
 根拠となる裏付けがあるわけではないですが、この2日間、東京市場で円高に振れる状況を見て、この水準でも円買い外貨売りのニーズが東京市場でかなり残っているように感じました。117円を大きく超えて円安になる時期は先の話になったのではないでしょうか。
 一方で、大きく円高になることに賭けるのもリスクが大きいと思われます。欧米市場は不安だから消去法で通貨円という流れで円独歩高に振れれば、必ず欧米の中央銀行はサブプライム問題対策を打ってくるでしょう。対策が打たれれば、取り敢えずどんな効果が出るかを様子見るために、円安に振れることが予想されます。従って第二弾の対策が打たれるまでは、積極的に円を買い続けることは難しい。かと言って、第二弾の対策が打たれた後、「これだけではサブプライム問題の解決にはならない」と、いずれ市場は第三弾の対策を期待することになり、再び円高に振れることも有り得ます。
 つまり上下に振れる為替の水準だけを見て、投資を続ければ精神的に疲れる環境がこれからも続くと私は考えています。それよりも今回相場の揺らぎの発端になった「サブプライム問題」の最悪事態をいつ市場が織り込むかに注目しています。市場は最悪の事態を恐れているのではなく、最悪の事態がどんなものか、予想がつかないから不安になっているのではないでしょうか。
 現在、中央銀行や監督庁には関係各所から損失状況が寄せられて、適正な市場機能を回復させるために必要な第二弾、第三弾の具体的な対応が練られているところだと期待します。自信を失った相場が回復するには少し時間がかかりそうですが、相場を見捨てず長く付き合っていきましょう。割安な場面を逃さないようにアンテナを張っていましょう。