2003年に上海を訪ねたときに、あっちにもこっちにも、池袋や新宿みたいなビル群がすでにたくさん建っていて、「これからもっともっと建っていくんだ」と中国の将来に期待で胸一杯の現地の人の話しを聞きました。あちこちに、見上げててっぺんを見るのも疲れるぐらいの建設中のオフィスビルがたくさんありました。そのときの正直な感想は、「こんなに建てて人が入るの?」という素朴な疑問です。八重洲のブックセンターみたいな本屋に入りました。確かに人で溢れていましたが、床に寝転がって本を読む人(これは立ち読みとは言わないか?)、おしゃべりの場として利用しているような人ばかりで、とても本が売れているような様子がありませんでした。
 どんなに立派な外物を作っても、それが利用されて利益を生むサービスが提供できなければ、年金のグリンピアやかんぽの宿のように金食い虫にしかなりません。バブルの時であれば勢いで乗り切れるかも知れませんが、少々ピークが過ぎ、投資や消費に慎重になり始めた現在の日本の状況だったらいかがでしょうか。
 東京八重洲。銀座プランタン地域。超高層ビルが林立し、多くのビジネスマンや買い物客などがひしめく場所になるそうですが、そんな場所に入りたいと願う企業や専門店って、「どんだけ〜」あるのでしょうか。どこから流れてくるのでしょうか?そりゃー、新しいところができれば入りたいし、そこで商売したいと思いますが、そこに移ることで「どんだけ」のビジネスチャンスが期待できるのでしょうか?どう見ても、安い賃料ではありませんね。
 私の回りには残念ながら、機会があればそんな注目されている場所で商売したいという、景気の良い話をする人が見当たりません。不動産業界の人は消費税上げの機会を心待ちにしていると聞きます。「消費税が上がる前に買っておきませんか」という最後のバーゲンセールの機会だと。そんな材料を持ち出さないと高額商品が売れにくくなっている。将来に不安を感じ、再び個人の財布が閉まりかけているように、日常の相談を受ける中で私は感じています。
 一般庶民で、八重洲や銀座の新築超高層ビル群を心待ちにしている人がどれほどいるのでしょうか。消費者のニーズが裏付けにあっての行動でしょうか?「他がビルを新築して高層ビルにするならうちも」というような、他との対抗上、「とりあえず」とか「やむをえず」とかが理由になってはいないでしょうか。これまでは勢いで済んでしまったことも、これからはどうでしょうか?無駄を減らし、無理はしない。勝てるときにだけ参加するメリハリが必要な気がします。
 「どうにかなるさ」ではなく、「どうしたらできるのか」に戻って考えなければならないと思います。