世界同時株高、円キャリー取引の復活。サブプライム問題の市場不安を払拭するために、当時FRBの英断と言われたFFレート0.5%の大幅引き下げも、引き下げの根拠となった8月米国失業者数の数字が1ヶ月も経たないうちに大幅上方修正を受け「あの判断は正しかったのか」という見方もあります。
 中央銀行は「サブプライム問題は根が深く、楽観を許さぬ状態」とこれまでの見方を変えず、マーケットはサブプライム問題は個人消費が停滞するほど大きな影響は出ないと期待する。今では年内に期待された米国政策金利の追加利下げを期待する声も無くなり、むしろ欧州中央銀行の政策金利引き上げの見方が浮上するほど、見方が変わっている。
 株価や金利、そして為替の位置で、市場の見方が強気になったり、弱気になったり。市場に投資家が振り回されている状況が続いています。株価が上がってくれば「これからも上昇していくのかな。買っておけば良かった」。株価が下がってくれば「これからも下がっていくのかなあ。高いところで売っておけば良かった」。何で上がっているのか、何で下がっているのか、の確固たる目安が見つからないから不安でしょうがない。
 そういうときに頼りになったのが、プロの目利きの存在です。しかし、サブプライム関連の証券化商品の目利きをしていた格付け会社の目利き能力が疑われています。投資家の多くは、格付け会社の評価を背景にして、投資をしていました。
 たとえば骨董屋の鑑定士の評価を疑ったら、安心して骨董品の取引を行うことができません。流通に大きな障害が出ます。今回のサブプライム問題で一番大きな爪痕は、格付け会社を含めて、プロの目利きに対する信用失墜ではないでしょうか。
 「この皿、気に入っているものなのですが、鑑定してもらえませんか」
 「良い仕事していますねえ。少なくても1000万円はするでしょう。なんだったら私が直ぐに買いますよ」
 「いえいえ、先生がそんなに評価してもらえるものなら、家宝にします」と高い鑑定料を有り難がって支払います。
 一般の人には価値が見えないものに、価値あるものとして流通させるのに、非常な大きな役割を果たす鑑定士の評価と鑑定士の目利きに対する尊敬。現在の相場の状況は、目利き不在と目利き不信が根底にあるように思います。しばらく、こうした相場環境は続きそうです。