景気の停滞を懸念する数字が続く中で、原油や食料品などの価格がじわりと上がり、金価格が上昇するなどインフレ懸念が市場に広がっています。景気停滞の中でのインフレ進行、スタグフレーション懸念です。こうなると景気の停滞を回避するため、中央銀行がこれまでのように、単純に金利引き下げ、資金供給をするだけでは、インフレを増長し、個人消費を減退させ、不景気をかえって長引かせる状態を作り出してしまいます。景気を維持するために、金利を下げた方がよいのか、下げないでむしろインフレ退治のために引き上げたらよいのか。
 これまでは景気停滞懸念は中央銀行の金利引き下げで何度か切り抜けてきましたが、中央銀行の金融政策頼みで景気を維持するには限界が見えてきた様子です。今後は政府、中央銀行がより一体になって、景気の今後について、きめ細かく市場に安心感を与えるような配慮、対話が必要になります。
 これまで、米国、ユーロは少なからず、景気に対して、為替に対して、金利水準に対して、中央銀行・政府の見方を伝えてきました。ところが日本政府はどうでしょう?日銀にすべて責任を押し付け、「相場動向は市場が決めるもの」と見て見ぬふり。税収不足についてコメントを求められれば「日本の景気は今後も堅調であるという見方は変わらず。予定した税収は確保できる」。「今後も景気は堅調」という背景に政府はどれだけ関与しているのか。政府が関与しているおかげで景気が堅調に推移しているのであれば、この言い分はわかりますが、そのために何をしてくれているのかが見えず。「やっぱり景気が停滞したので税収不足が発生しました」と、結果を見てコメントするだけなら、えらい人はいらないと言いたいぐらい、コメントが他人事のように聞こえ不愉快になっているのは私だけでしょうか。
 いざというとき、米国は基軸通貨米ドルを守ります。ユーロ諸国はユーロの価値を大事にしています。日本円は誰が守ろうと頑張ってくれているのでしょうか。そんな通貨だから「円安」になるとは単純に言えませんが、クズ株でそうであるように、ちょっと買えば上がる、ちょっと売れば下がる、株価がおもちゃになるように、背景のないものの動きは激しく上下します。大事な一国の通貨が市場にもてあそばれるものになってしまったら、それをよりどころにする個人や企業の財産はたまったものではありません。日本政府、日銀は、現状を日本円のピンチと受け止め、長期的に日本円が安定するように、役目に責任を持ってもらいたいと切に願います。
「日本円の今後は市場次第。私たちにどうしろというのですか」と開き直られては、国民はどうしたらよいのでしょうか。