私が勧める投資信託のひとつに「日興ピムコハイインカムソブリンファンド」があります。

これは米ドル建て新興国債券に投資する投信で、後にドル高・円安が進んだ時に為替リスクをヘッジするために「円ヘッジコース」ができて、さらに、ブラジルレアルやトルコリラ、メキシコペソなどの高金利の新興国通貨の動きに連動するコースが加わった、いわゆる、通貨選択型の投信に変わっていきました。

通貨選択型は複雑な仕組みで一般の投資家には向かない投信だと評判が良くないのですが、私は投資家の通貨の選択肢が多いのは悪いことではなく、為替の変動に合わせてコース変更を行い、長く投資を継続していける手段として画期的な仕組みだと考えています。

問題なのは、通貨選択型という仕組みがあるにもかかわらず、それを上手に利用するアフタフォローが十分にできていない実態です。

私は、米10年国債利回りが3%程度に上昇した頃から「米国債は非常に魅力的な投資対象になって来たので、これまで利回りが高いという理由だけで買われていた新興国債券やハイイールド債券は売られるはずだ」と、それまで高金利で魅力的だったブラジルレアルやトルコリラのコースを選択していたものを米ドルコースに変更し確実な資産に代えて一時避難するように提案してきました。

今回、トルコショックで新興国からの資金流出が話題になっていますが、新興国の中でも、資金流出の速さ、大きさはマチマチです。まさにトルコショックで、トルコの特殊事情が大きな要因と言えます。①エルドアン大統領の独裁政治を懸念する声があったものの、比較的、為替・金利ともに安定していた(割高な状況が続いていた)、②エルドアン大統領が国民に不評な金利引き上げを露骨に牽制し、トルコの金融政策が無秩序・混沌状態になることをマーケットが怖れた、などが起因しています。

結果、トルコ10年国債利回りは12%から20%に、トルコリラは1ドル=30円から16円に、異常な金利高・通貨安となりました。まさに、パニックです。

この通貨安・金利高はエルドアン大統領の言動行動によるものですから、いつ沈静化するのかわからないため、現状が割安になったとは言えませんが、以前に比べて、短期間に非常に価値が下落したのは事実です。

今のトルコの金利暴騰・通貨暴落の様子はまさにトルコという国がまもなく破綻するのを前提にした動きです。

私がこの先、「確かにトルコは混乱状態にあるけど、そのまま破綻に向かう可能性は少ない」と判断したら、大きなリターンを期待する投資家には、一時避難した米ドルコースの資金の一部をトルコリラへのコース変更(スイッチング)を提案するかもしれません。

価格が大きく下落するとすべてがマイナスのことに思えてしまいますが、下落には行き過ぎがあり、それを拾うチャンスもこういう時しかありません。相場の良い時に割安なものは見つかりません。大きな下落場面は、すぐの成果を期待せず、3年後、値上がりして笑っている自分がイメージできるのであれば前向き、積極的に投資を検討するチャンスだと考えます。