私のところに将来が心配で相談に来られて、現在非常に穏やかに過ごされている人で共通していることは、これだけあれば生きていけるという自分にあった最低限の収入や確保すべき金額にメドが立った人です。
 お金はあるに越したことはありませんが、望めばきりがない物です。自分の今の生活を維持していくのに毎月15,6万円あれば事足りると思う人もいれば、最低60万円はないと心配という人もいます。「年金を別にして、現預金が3000万円確保できれば、資産を減らさず守る投資ができる」と私がお話しすると、これまた反応はマチマチです。「そんな金額で大丈夫なのですか?」と不安がる人あり、「そんなに無いとダメなんですか?」と不安がる人あり。
 しかし、「将来はわかりませんが、現状で将来必要な額を試算すると、最低限この程度確保できれば大丈夫ではないですか」と提示した数字に、相談者が納得した時点で、不安の大半が解消します。大事なのは、「そのために何をやめるか」、そして「そのために何をすべきか」の手段を考えることです。その手段のひとつとして、「投資」があるに過ぎず、それが全ての人にニーズがあるわけではありません。
 資産を確保するだけで、敢えてリスクを取って資産を大きく増やす必要がない人にとっては「個人向け国債」みたいなものが一番投資目的に合っているかもしれません。しかし、「10年で資産を倍にしたい」という目的のある人に、個人向け国債や仕組み預金を勧めても、何の解決にもなりません。
 じゃ、その人に株式投資や外貨投資が必要だということになったとしても、その人の知識や経験、興味、投資に対する姿勢など、人それぞれに異なる状況を踏まえた上での金融商品選びをしなければ、投資の継続がストレスになりかねません。
 私は万人受けする金融商品なんてないし、初心者専用の金融商品なんてないと考えます。
したがって、「2008年、あなたにお勧めの投資信託」というタイトルが賑わう時期になってきましたが、「こんなあなたなら・・・」という条件が抜けた提案であれば、「投資家が自分でどうしたらよいか」の解決を助ける有り難い内容ではないと思います。
 もう一歩進めて考えれば、「こんなあなたたなら、こんな投資目的を持って金融商品を選んでみましょう」という提案の方が先ではないでしょうか。金融商品を選ぶ前の段階で、投資に悩んでいる人が多いのではないでしょうか?
 私は相談者から「前川さんの勧めるのは固くてつまらない。もっと値動きのある物を試したい」という注文を良く受けます。これは私の提案がつまらないということではなく、最低限の準備が整った結果、投資を前向きに考える余裕ができたからだと解釈し、「自分のやっていることは間違っていないはず」と自分を励ましています。