つい2,3年前は、日本の個人金融資産を狙って外資系金融機関やプライベートバンクもどきから、「円資産だけで安心ですか?」という誘いが雨のように降ってきて、「現地の高度なサービスを堪能してください」と優良見込み顧客にはツアーを組んで招待するところもありました。
 当初は金融資産で30億円以上お持ちの方という条件だったのに、最近では1000万円以下の方でも誘われるほど、基準を下げて激しい顧客争奪を展開するところもありました。
 しかし、本日の日経新聞記事では、香港最大の銀行、香港上海銀行の本店では昨年夏から、言葉が通じない日本人顧客の口座開設を事実上拒否しているとの記事がありました。
これまでがサービスとして行き過ぎた状況であったことは確かですが、これは時代の変調と受け止める必要があると思います。日本人が「円資産だけで大丈夫か?」と不安に思う気持ちはより強くなっているにもかかわらず、相手が逃げ出しているのです。
 「面倒くさい、手間がかかる日本人」よりも、「羽振りが良く、手間がかからず大口の近隣アジアの人」の方が効率がいいということではないでしょうか?
 日本人はマグロで負け、石油・石炭で負け、ついに金融にも相手にされなくなってしまったのか。
ヨーロッパのアパレルブランドメーカーでは、ユーロ高で日本人に高級品が売れにくくなったため、日本人用に買いやすい価格帯の商品を用意しているという話しも聞きます。
 最近、外資系金融機関で日本の個人富裕層をターゲットに積極進出する流れが出ていますが、そのサービス内容は未知数です。もしかしたら、アパレルメーカーのように、日本人仕様のサービスなのかも知れません。
 外資系の多くは採算ベースで国内に進出してくるわけですから、コストパフォーマンスが見合わなければ撤退する可能性があります。我々投資家サイドで考えれば、コストパフォーマンスが見合わなければ利用しなければいいのですが、その前提条件はその代わりが日本の金融機関でも十分任せられることにあります。投資には、投資を始めるための助言よりも、投資を始めた後の助言の方が数段大事であり、その担い手として「どこが適切なのか」ということに、もっと注目すべきだと思います。海外に資産を持って行ったはいいけど、その後のフォローがなく、「後はご随意に」と手放されては堪りません。
 「この金融機関ならいざというときも相談ができて安心」という国内金融機関があれば、何も好んで様子が分からない海外の金融機関に頼る必要がありませんし、まがい物の金融商品話に引っかかることも少なくなるはずです。そのためにも是非国内金融機関は投資家の扱いを怖がらずに、積極的に投資家の考えや不安に耳を傾け、相談に乗る機能を取り戻してもらいたいと切に願います。
以前の銀行は預金者にとって頼りになる存在であったわけですから。このままでは日本人の多くが「投資難民」になってしまいます。