以前金価格が300ドル台の時に、「金価格の妥当価格を測るモノサシみたいなものはないですか?」と質問したことがあります。「強いていえば、採掘コストかなあ。金価格が上昇してくると、今まで採算に合わなかった場所や深さまで採掘する余地が出てくる。つまりコストの高い金が出回るようになる。もちろん採掘する人のニーズが高まるから賃金上昇などのコストもよりかかる」という説明を受けました。そのときの採掘コストは320ドルから330ドルだと聞いた覚えがあります。それが一時910ドルを超えました。
 株価であれば、企業の利益や解散価値というモノサシがあります。金利は市場が決める金利や中央銀行が決める政策金利があります。しかし金にはそもそも金利が付きませんし、それ自体利益を生むものではありません。そういう意味では、現在の金の位置づけは、米ドルやユーロなど為替に近いものと考えた方がよいのではないでしょうか。
 米ドルやユーロなど為替に妥当価格というものはありません。たとえば米ドルは1ドル=1000円であってもおかしくないし、1ドル=10円でもおかしくないわけです。ただし、それでは通貨としての信用を失い流通が困難になるため、国家が威信をかけて価値の安定を図っている結果です。
 金価格はその為替の代替としての役割を持ってしまった今、為替との相対的な強弱によって金の価値が変動しています。「ドルが安全なのか?ユーロが安全なのか?」と為替の信用が揺れる状態は今後も続きそうです。したがって「金価格の妥当価格はいくらか?」という答えもしばらく出そうもありません。個人的には、「どうしても資産分散の選択肢として金を持ちたい」という人がいれば、コマーシャルで耳に残っている人も多いと思いますが、「純金積立」をお勧めしたいと思います。
 ここ最近では「不動産価格の上昇」を期待する人の数がめっきり減って、ピークアウトしたと見る人が出てきました。新興国の株式はどうなのでしょうか?まだピークアウトはしていないと見ている人の方が多いのでしょうか?
 大きなお世話だと思いますが、私は「ピークアウトか、アウトでないか」を議論するような割高さが残る投資対象に、敢えて今投資することはないのではと思います。戦況はグロース相場からバリュー相場に変わっています。一旦引いて、勝てるときだけ参加するスタイルに徹したいと思います。