私のソニーに対する印象は、他におもねることなく独立独歩を目指す、ちょっと傲慢にも見える会社でした。そのソニーが、これまたプライドの高いシャープと液晶パネルの共同生産を行うと発表しました。双方が持つ市場への利を考えれば、この組み合わせは意外でもないのですが、色の濃すぎるパートナーであることが意外でした。
 1999年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が全面統合してみずほグループが誕生したときに近い印象です。当時、「この個性がある組み合わせで共同歩調が取れるのかなあ」と顔ぶれを見て私は感じました。
 このみずほグループの誕生も、金融機関として存在感を残すために必要な英断として危機感から起こったものです。ソニー、シャープとも、危機感の共通認識が合致したものだと思われます。
松下電器と日立、キャノンの提携もその表れです。
 こうした提携は食品、輸送機器、素材産業などにも具体的な動きが出ていますし、異業種メーカー同士の提携は日常茶飯事。民間企業の先行きに対する危機感は新しい展開にすでに踏み出しているようです。私はこの危機感からのバネに期待しています。しかし、こうした動きが世界と直接接点を持ち、競争を余儀なくされているメーカーに目立っているだけで、国内を主戦場にしている金融業・不動産業は「いかに現在のパイを守るか」という守りの姿勢になっているようで精彩を欠いているように思います。
 そして、内向きの典型は政治。ここだけは未だに時間が止まっているようで、現実の経済や金融とは全く別物として動いているようです。英国エコノミスト誌は「日本の停滞、元凶は政治家」として、「何故日本は失敗続けるのか」という題目で日本の状態を「J A P A i N」とAの後に小文字iを加えて「PAIN(痛み)」をかけて表現しました。英国人の皮肉は粋ですねえ。
 内向き、縮小均衡では新しい展開は生まれてきません。現在頑張っている企業を見習って、そこから抜け出す元気な姿が増えることを切に期待します。
 日本に今残された最後の買い材料は「日本に前向きなことを期待することをあきらめた」ということではないでしょうか。したがって少しの前向きな出来事でも、市場にとってはサプライズ。
これが私が日本株は底近辺にあると考える根拠です。期待がないから下げても知れてる。少しの前向きな材料が出れば、底堅く推移。現在の不透明な環境・相場動向にあって、「下がっても知れている、流動性の高い資産」日本株の存在は貴重だと私は感じています。