最近、注意深く新聞を読んでいると、「個人向けなんとか」という投資話が多く見かけるようになったと思いませんか?本来、機関投資家の大口向けや富裕層向けに案内していたものが売りづらい環境になってくると、「個人向け」とか「あの富裕層向けのサービスをあなたに」とか、向こうから売り込んでくるものが増えてきます。
 「個人向け社債」、「個人向けサムライ債」。普通、社債やサムライ債(海外の発行体が円建て発行する債券で円建て外債ともいいます)は機関投資家向けに最低億単位で販売されるものです。これを個人向けに販売するには、個人にリスクの認知をしてもらうために詳しい発行体の概要やリスクの説明が必要になりますし、50万円や100万円単位での、いわば小口販売の積み重ねとなり、非常に手間がかかります。
 それでも、個人向けに販売を行うのは、「個人投資家は今株価変動リスクに恐れ、為替の変動リスクに恐れ、元利確定商品である債券にニーズがあり、IRも兼ねて社債やサムライ債の発行を個人向けに考えた」という建前があります。
 しかし
実際は株式の増資は思うままにできない。さりとて金融機関も貸し渋り十分な資金を安い金利で調達することもできず。更に機関投資家は債券さえも金利を高くしないと購入してもらえない。こういう環境で、個人投資家なら機関投資家に発行するよりも安いコストで調達ができるという、発行側の事情によるところが大きいと思います。
 「えー、じゃ社債やサムライ債は買っちゃ損なの?」。そういうわけではありません。しばらく、発行体の株式増資が難しい、銀行から借り入れがしにくい、大口で投資してくれる機関投資家は少ない、という状況は今後もしばらく続くでしょうから、社債、サムライ債の発行はもっと増えてくるでしょう。供給側のニーズが大きくなれば当然債券の金利は上昇してきます。今のうちに、たとえば5年で年1.5%以上の水準であれば検討しようと、自分の納得する金利水準の目安を立てておきましょう。手に入るチャンスがあるかも知れません。
 しばらく確定金利物の金利水準が低くてつまらない時が続いていましたが、今後しばらくは金利水準にも少し注目してください。個人向けは「困ったとき」にしかでません。いつもあるものではありません。個人が金利を選べる立場にいるときは、あまりないのです。