東京証券取引所は投資家が株式市場で1株売買するのに必要な最低金額を5万円以上にするように、企業側に要請するらしい。最低金額を引き上げることで、投機的な売買を減らせると考えたのだろうか。ニートが問題になると社会復帰をサポートする場をつくるために予算を取り、少子化が問題になると企業に育児休業制度の徹底と就業時間の短縮を求める。これって、本当に根本的な解決につながる、優先順位の高い第一歩なのでしょうか。
 現在投資商品のほとんどがネットでも簡単に購入できます。金融機関は投資家が見えるところに、伝えなければならないリスク情報を並べて、「ご随意にご覧下さい」と言わんばかりに自己責任を押し付けています。しかし自己責任を受け止めて投資に取り組んでもらうには、「リスクを理解した上でそれでもリターンが魅力だからやる」という過程をサポートする情報が一番大事だと思います。以前は「顧客が賢くなると売りたいものが売れなくなる」とリスク情報を聞かれるまで伝えないという風潮がありましたが、自己責任を前提にする今の世の中で、もしまだこれが行われているところがあるとしたら、その企業は投資家の信頼を失い、消えていくのは必然でしょう。
 個人投資家に投資商品を案内した金融機関は「天まで届く相場はない」を噛みしめ、相場が低迷したときにでも、投資家が頑張って投資を継続できる勇気が持てるように、できればそのときに相談に乗れる立場でいれるように、リスクとの付き合い方について、投資家とコミュニケーションを持つ時間をつくる工夫をした方が良いと思います。販売した商品のフォローをいつでも取れる態勢は整っていますか。こんなに損するとは思わなかったと自分が慌ててしまっていては、とても顧客の悩みを受け止めることは出来ません。