松井証券が「株式の手数料が一律であるのはおかしい」と手数料自由化に梶を切ったころの手数料は確かに割高だったし、証券会社の給与待遇は世間から文句が出るほど恵まれた水準にありました。しかし現在は、株式手数料は回転売買を繰り返す顧客をたくさん抱え込まないと採算が合わない程度まで下がり、株式一本ではやっていけなくなって、あれこれ品揃えに知恵を絞っています。システム不具合でシステムを止めてしまえば「行政処分を食らってしまう」とシステム開発の費用は年々かさばる傾向にあり、装置産業化している。
 
 収益が伸びず、装置産業化してコストも減らせないとなれば、人件費を落とす、顧客への手間をさくという縮小均衡に陥りがち。すると今度は説明不足で、金商法に触れて行政処分。にっちもさっちもいかない状況。
 儲かっている利益を投資家に還元する形で手数料を引き下げるのであれば望ましいことであるが、生き残るためのダンピングで、突然サービス停止の憂き目にあうなら投資家としてはかえって迷惑な話である。
 「既存証券会社でできないサービスを投資家に提供したい」という思いで、新規参入してきたインターネット専業證券だったはず。「投資家のために何が出来るか」よりも、「会社として生き残るには何が出来るか」を優先している風に見えます。今こそ、もう一度「投資家のために何が出来るか」に戻らなければ、ただ手数料が安いだけで魅力のない、存在意義の薄い証券会社になってしまう、そんな岐路にインターネット専業證券は立っているように思います。「どんな使い方をして欲しいのか」という投資家へのメッセージが伝わっていないと思います。
 せっかく、これだけインターネット取引が一般的になったわけですから、このインフラ環境は貴重な財産。是非ここでインターネット専業證券に踏ん張ってもらいたいと願っています。