投資信託を保有している人のほとんどが抱えている悩みとして、「いつ売却したら良いのか」というものがあります。「投資信託は長期保有を前提に投資するもの」と言われて始めたものだから、売り時の判断ができないという嘆きです。
 これは販売側の事情もあります。特にバランス型投資信託を購入していただいた投資家から、1年以内の売却を受けると「営業マンが無理な投資信託の販売をしたのではないか、説明不足があったのではないか」と社内的なペナルティが発生するところもあります。そのため、投資家からの「売りたい」という要請を止める業者があったりします。
 投資目的に沿った投資信託を選ぶ際には、売りのタイミングもセットで考えることをお勧めします。「値上がり利益を目的に投資信託を選びたい」と投資信託を選ぶのであれば、当然目標にした値上がり利益が確保できそうな水準になったら売りを検討する。投資環境の変化で目標にした水準まで届きそうもないと判断したときには、再度目標水準を設定し直す。つまり、値上がり利益を狙った投資信託は「目標が達成できる水準になったら売る」ことを決めて投資することが必要で、この設定をしておかないとずっと売却する決心がつかず、人からの指示を待たないと売れない「固定された資金」になってしまいます。
 投資目的が「安定した収益を期待する」であれば、私の場合は通常基準価額の値動きも安定した投資信託を選びます。基準価額が安定していると言うことは、買ったときと売るときとで大きなマイナスが発生していない可能性が高いということを期待しています。もし売ろうとしたときに大きな値下がりをしていれば、売却に躊躇しますよね。逆に基準価額が安定している投資信託は換金しやすいというメリットがあるわけです。したがって私は「安定した収益を期待して投資した投資信託」をご案内するときは、「もし生活資金や何か急な入り用があったときに売却して充当する選択肢としてお考えいただいても結構ですよ」と付け加えます。
 投資信託をすることで生活に余裕を作りたいと思って投資したお金が「いつ売ったらよいのか」という窮屈で、自分で判断に困る資金になっているとしたら、非常に不幸なことだと思います。
「投資しなさい」と言うだけではなく、「貯蓄に戻す」時期の示唆も、投資家にしてあげなければ片手落ちな対応だと私は思います。