私はこれまで投資信託という金融商品を何度も説明してきた人間の一人ですが、つくづく思います。投資信託を本当に一から説明しようとすると、聞けば聞くほど、聞いている投資家は余計分からなくなりますし、説明している方は、話せば話すほど、「どうしたら理解してもらえるのか」と困惑する金融商品です。
 一般に「投資初心者向けの金融商品」として投資信託について説明されていますが、私はこれは間違った刷り込みで、決して初級者向けの金融商品ではありません。初心者は初心者なりに、上級者は上級者なりに利用することが出来る、奥の深い金融商品だと思います。
 東都生活協同組合の会員向け勉強会において、「投資信託の基本と活用法を楽しく学ぶ」という4回シリーズの最終回を、昨日終えました。その中で「目論見書の読み方」についても説明したのですが、かなりやさしく、途中で止まりながらの説明でしたが、大抵の会員さんの頭の上にはクウェスチョンマークが飛んでいました。おそらくここまで丁寧に時間をかけて、しかもわかってもらおうと説明する窓口もないでしょうし、ましてや投資家がインターネットで勝手に目論見書を引き出し、自分だけで理解が十分な人がどれだけいるのでしょうか?
 講師は二人で行いましたが、二人の意見、感想は同じでした。「本当に投資信託を理解してもらう機会をセミナーで作ろうとするなら、最低6回。そして、聴講者が内容について頭を整理してもらうための期間を置いた後、再受講の機会を提供する必要がある」ということです。
 今回も2時間4回行いましたが、最後のアンケートで「やっと投資信託が少し理解できたような気がします」とか、「質問をしたかったのですが、まだ分からないところがわからない状況です。もう少し勉強して、次回の機会を楽しみにします」とありました。
 投資信託を販売する金融機関は、「投資家に購入のきっかけをつくるセミナー」ばかりではなく、「投資家がリスクを認知して投資信託を選択肢として考える機会のセミナー」を優先するべきだと思います。それは投資家のためになるだけではなく、金融機関が販売した後に大事になるリスク説明を繰り返す負担を大きく軽減するからです。
 今回も実感しましたが、投資家にとって「投資信託」は良くも悪くも感心がある金融商品なのですね。先日ある人から言われました。「前川さん、どうせ本を書くなら「いま債券投資が面白い」ではなく、「いま投資信託が面白い」の方が受けたんじゃないですか?」と言われてしまいました。
 投資信託を自分のものにするために、この本を読んでもらいたいのですが・・・。