オークション・レート・セキュリティーズ(ARS)という仕組み債の販売で、販売金融機関から「安全で流動性が高い金融商品」として説明を受けていたにもかかわらず、今年2月以降は売るに売れない状況が続き、多くの投資家が元本割れを想定していなかったARSの価値が2割以上も下落しています。そして現在、投資家から販売金融機関の説明不足と訴えられ、8月7日にシティグループ、メリルリンチが買い戻しを発表したのを皮切りに買い戻しを発表する金融機関が続いています。米司法当局が証拠提出を求めた数は25社。こうなると、ほとんどの名だたる金融機関が対象になってしまいます。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」。販売している側がリスクを過小評価していて、こんな状態に追い込まれるとは露とも想定していなかったのではないでしょうか。
 「いつかはそんなときが来るとは思っていたけど・・。こんなに早く来るとは」。これは、バブルがはじけた宴の後、冷静にバブルの崩壊を認識したときに、よく耳にする言葉です。
中国では不動産市況に調整色が出てきたとか。今更という感があります。中国では、まだ不動産価格の上昇率がマイナスになっていない段階であることに驚きです。本格的な調整はこれからでしょう。オフィスビル、商店モールの中には、歯抜けというよりもごっそりゴースト化しているところも出始めていると聞きます。
 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ政府系の不動産関連企業の幹部や従業員が相次ぎ、収賄や不正な金融取引に関与した疑いで取り調べを受け、大規模な金融スキャンダルに発展する可能性があると日経新聞の記事にありました。今後、特に新興国ではコンプライアンス面でのチェックが甘いため、相場が傾いてくるとスキャンダルの発覚が増える傾向にあります。
こうした流れは相場にいったん区切りがつけられ、さらに新しい相場への地ならしが始まっている過程には必ずあることです。
 もし私が個人で投資ができるなら、「以前は安全で流動性が高い金融商品として販売されていて、現在は2割以上も元本よりも安く買えて、その中でも最終的に保有していれば元本確保が期待できる発行体のARS」に興味があります。時間の経過で混乱が落ち着き適正な価格に戻ると仮定すれば、目先の混乱はまだ続くと予想されますので、積み立て投資の対象として有効だと考えました。ARSの販売金融機関が渋々買い戻しに応じているのは「最終的には大きく元本割れして終わる金融商品ではない。今は過剰反応だ」と考えているからかも知れません。
 「これって、どう調理したらおいしく食べられるかなあ」と視点を変えてみたら、結構おいしい食材が割安で手に入る、投資環境だと思います。