今回の相場は、健全で善良な、それこそ慎み深い投資家まで痛めつけています。リスクを取ってしまった結果の報いではなく、リスクを極力抑えた運用姿勢であった投資家も大きな損失を抱えています。資源・燃油・資材高騰で仕入れコストが高くなり、仕上がり製品に価格転嫁も出来ず、しかも売れない、作れば作るほど損がかさんでいく。これは、「そういう商売を選択した自己責任だ」と言われたら身も蓋もなくなります。じゃ、「日本では農作物を作る必要がないのか、魚を捕りに行く必要はないのか」、「物流を止めてしまってよいのか」などなど。ここまでくると、個々人や個々の企業の自助努力ではどうにも解決できません。
 本日の日経記事には「REIT(不動産投資信託) 昨年5月ピーク比世界時価総額7割減 10月に25兆円消失」とありました。現在、主要国のREIT時価総額合計は約30兆円まで急減しています。国内リートの平均配当利回りは、なんと8.25%。為替リスクがないにもかかわらず、この利回りです。これはREITの破綻リスクを投資家は恐れているからです。
 「不動産の値上がり益に期待せず、不動産から上がる定期的な収入をベースにして資産価値を維持し高めていく」専門性の高い分野としてREITは社会に必要だと思います。実際、2001年に国内REITが誕生して以来、関係者の方々は非常にご苦労してREIT市場のステータスアップに尽力されてきたと思います。REITも市場で上下する金融商品ですから、今回のように株価がおもちゃにされることがあるでしょう。しかし、このままREITの各企業の自助努力に任せる、市場の回復に期待するだけのスタンスだと、おそらく新興市場がそうだったように、投資家にそっぽを向かれ本当の流動性がない不動産になってしまいかねません。
 ETFも同様です。どんなに魅力的な金融商品であっても、品数を増やすだけでは投資家層は広がっていきません。「何がリスクなのか」、「どのくらいのリターンが期待できるのか」、「そしてそのリターンはリスクに見合ったものなのか」が、どんな投資家の知識・経験レベルであっても、努力すれば理解できるインフラをまず整えなければなりません。
 「リターンにばかり目が行き、リスクの認識が甘かった」、「リスクにばかり目が行き、投資する気持ちになれなかった」。これまでも相場の振幅で、こうした繰り返しが行われてきました。
仕組み・制度の維持は政府・行政に期待するしかありません。思わぬ拾いものがみつかる投資の時期だと考える人であれば、まず「リスクの大きさ」を知り、付きあった結果の「リターンの大きさ」を知り、「それに堪えられる自分自身の許容度の幅」を知る、そうした勉強と心構えを作る大事な時期にあると思います。
これまでが「今投資するとしたら何がいい?」という投資の仕方だった人なら、「今投資するなら、どんな見方をしたらいい?」という仕方に変える良い時期です。