「私は株式投資を一切行いません」、「私は投資の話には全く興味がありません」。以前「上場企業の経営者が株式に興味がないということはどういうことか。せめて自社株は株主の気持ちを理解するために借金をしてでも保有すべきではないか」と株主総会で自社株を持たない役員が株主からつるし上げをくったケースがありました。
 本日新聞では福井総裁の預貯金の内容に米ドルの外貨預金が12万ドルあったと騒いでいます。約1億9000万円の預貯金のうち1割ぐらい有ったっていいじゃないですか。為替に絡む重要なポジションにいる人間がけしからんということでしょうが。「為替にはまったく興味がなく、ドル預金の状況がどうなっているかを気にしたこともありません」と言い放たれるよりよいのではないでしょうか。それに為替で利益を出したい人が「為替コストがバカ高い外貨預金」を選択するでしょうか。せめて外貨MMFでしょう。外貨預金は外貨として将来使うために準備するもの。これを投機・投資目的だと騒ぐ、マスコミの見識を疑います。
 こう言ってはなんですが、福井氏にとっては村上ファンドに拠出した1000万円は外貨預金程度の認識で、損しなければ良いというものだったのではないでしょうか。もし福井氏が将来利殖目的で疑われる事態を想定していたら、村上ファンドも外貨預金も持たなかったと思います。彼の発言、彼の行動には、お金に対する「ギラギラ」とした執着が私には全く見られません。今回の件はすべて、福井氏の脇の甘さからつけ込まれたもので、本人にとっては想定外ではなかったのでしょうか。
 若いときから「日銀のプリンス」と呼ばれ、次期総裁候補確実と見られた福井氏は「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」で監督責任をとって副総裁を辞任しました。この時はあっさりとした辞任でした。おそらく「日銀を守る」ためと潔かったのではないでしょうか。
今回は「職務を全うしたい」と最初から表明しています。これは日銀総裁という職務に拘っているわけではなく、「米国FRBの信頼が揺らいでいる中、国内の低金利解除を混乱なく進めるためには日銀総裁の空白期間を作ってはならない」という使命感だと思います。
 福井氏を慕う友人はたくさんいます。資金面で生活に困ることもありません。「家族の私生活まで、おもしろくおかしく取り上げられ冗談じゃない」と私なら、とっくに尻をまくり辞任しています。
 格差社会は失敗しても頑張る人には再起できるように応援するシステムが必要だと言われています。金持ちの福井氏には、そのチャンスはやらないということでしょうか。こんな形で福井氏からバトンを受け継ぐ新日銀総裁は、いろいろなことに神経を使うことになるでしょう。そんな人が「日銀の独立」を守り「通貨の番人」として期待できるでしょうか。こんな状況でもまだ「日銀の役割」を大事に思い、意欲を持っている福井氏にもう一度チャンスをあげ、彼の仕事ぶりをみたいと願っています。その後でもいいんじゃないですか、辞任を求めるのは。まずは日銀総裁として責任を果たしてもらいたいです。