長野の旅を終えて帰ってくると、驚きと今までになかった「冷めた見方」に至りました。
米政府はバンク・オブ・アメリカに1800億ドルの公的資金を注入し、不良資産から今後生じる損失の大半を肩代わりをする追加支援を決めました。続いて、米シティは2008年10−12月期決算の最終損益が約83億ドル、7500億円の赤字となり、銀行業務を中核とし、その他の業務をリストラ対象にするという発表をしました。すべてはバンカメ、シティの存続、生き残りのため。「リストラをして、企業としての存続・継続に向けての現実的な行程の宣言」ですから、「バンカメ、シティは本当に大丈夫か」と心配する人にとっては安心に近づいた話題だと思います。
 しかし、その一方で切り捨てられる業務があります。切り捨てられることで、「役割を失う。職を失う」業界人は困ります。困る人がたくさんこれかも出てくると思います。
 だけど利用者、消費者からの「あなたがいなくなると困る」という声がどれほどあるのかなあと、冷めて考えてしまいます。
「●●銀行、●●証券、●●生命がなくなっても、その役割が他でカバーができれば、少し不便になるけど仕方ない」と考える方が多いのではないでしょうか。
●●銀行が■■銀行に変わり、●●証券が■■証券に名前が変わっても、今までと変わらないサービスが受けられるなら構わないと割り切っている人が増えているのではないでしょうか。
 以前は「●●銀行さんにはお世話になっている」とか、「●●銀行の●●さんにはよくしてもらっている」とか、金融機関と個人、担当者と個人は密なつきあいがあって、金融機関を代えたり、担当者が交代すると、「同じようなつきあいができるかな」と不安になったものです。今は、そんな話をしばらく聞いたことがありません。
 私の証券マン時代。●●証券に「千春ちゃん」と呼ばれた担当者(女性)がいました。どこに行っても、その子が書いた自分のイラスト入りのファックスレポートを私の担当先で見せられました。
「お早うございます」、とか「こんにちは」とか、手書きのレポートを送っていました。
「前川さん。この子はかわいいでしょ。簡単だけど、いつもこんなレポートを送ってくれる。たまに来る偉そうな役員の訪問よりも、この子のレポートを見るほうが楽しみで・・。そんなわけで、前川さんとのおつきあいは難しいよ。相手は手強いから」と担当者の受けは絶対です。
 しかも楽しみにしている担当者は未だに本人に一度も会ったことがないという話を聞いて二度ビックリです。接待ゴルフや飲み会への誘いなど、男子営業マンがあの手、この手で人間関係を築こうと努力していたにもかかわらず。
 その子が結婚寿退社するのを喜ぶ他社男子営業マン、それにひどくがっかりする運用担当者がありました。
 金融機関が本当にニーズに根ざした生き残りを図るなら、「あなたがいないと困ると惜しまれる働きをしているか」の原点に返るべきだと思います。「あなたの代わりがいればいい」では淋しすぎます。そこで最近は「対面営業の強化」を叫ぶ金融機関が増えてきましたが、実態は進んでいるのでしょうか?こんなに相場環境悪い状態が長く続き、しかも投資家との溝が深まってしまった状況で、現場に「顧客との連絡を密にしろ」と指示だけ飛ばし、個人の裁量、自助努力にまかせ、丸投げをしても実が上がるわけがありません。
 今回、長野の金融機関の研修に行って確認できました。金融機関の現場の人は顧客対応について「どうしたらよいか」に戸惑っています。そして、日々時間だけが流れてます。
「顧客から質問されたら困る内容にどんなものがありますか?」
 出てきたのは→「どうしたらいいの?」・・・・。
 顧客からの質問は漠然とした不安を訴えるものが大半です。それはある意味で仕方ないことだと思います。日頃のコミュニケーションが取れていないので、顧客も「どんな質問をしたらいいのか」がわからず、ついつい質問は具体的なものではなく抽象的なものになってしまいます。
「そんなこと聞かれても」と担当者は困ってしまうので、ますます投資の話を避けてしまうようになりがちです。
 今回、私は担当者の方に「質問に対して正しい答えを返そうなんて力まず、あなたにとってはお客様と一緒に考える機会、お客様とっては「そんなことも聞いてくれるんだ」という相談相手として認知してもらう機会にしましょう」と呼びかけ、そのために参考になるだろう話題を提供しました。
最後に「今回聞いた話で、実際お客様に話してみようと思われた人があれば手を挙げてください」と確認をしたところ(尋ねる私もどうかと思いますが、リップサービスかも知れません)、手を挙げていただけた人があり、頑張ってくれる現場の人の存在に希望が持てました。
「あなたがいないと困る」と言われる存在、役割でありたいとみんな思っているはずです。特に金融機関の皆さん。期待されていない今こそ、少しの努力で目立つ存在になれます。他のサービス業の方から見ればうらやましい業界です。是非是非チャンスとして、頑張って意味のある時期に現在あると思います。