「人にお金を貸すときは戻らないと覚悟して貸しなさい」、「大切な人にはお金を貸してはだめ。貸したことでその人を失うことになるから」など、これまで私はいろいろな人から「お金の貸し借り」の難しさを教えてもらいました。
 大和証券では証券を担保に個人向けのローンに参入するとのことです。今の証券マンはいろいろなことをしなければならないので気の毒に思いました。それと同時に「融資」といえば、銀行業務の要。融資経験も審査能力もない門外漢の大和証券が簡単に参入しようと考えるのが無謀なのか、それとも担保さえ取っておけば実は簡単な業務で、審査が厳しくて融資が伸びないというのは、ただ単に銀行の現場に審査の工夫や努力足りないためなのか。こうした新規参入の動きは、既存者の価値を確認する意味で消費者にとってはいい面もありそうです。
 伊勢丹が得意客として抱える富裕層をターゲットに金融サービスを広げようと証券仲介業に参入します。これにより、全店で資産相談を受けられるようになるとのこと。以前バブルの時、大手証券会社は百貨店にミニ店舗を構え、同様に金融サービスを行っていましたが、バブル崩壊後、コストに合わないため閉鎖しました。プロが店を開いて、顧客ニーズをつかめなかったわけです。
 もし伊勢丹が参入して成功したら、証券会社は「時代が早すぎた」と言い訳するのでしょうか。それとも「証券会社の看板がマイナスだった」と自嘲するのでしょうか。個人的には、伊勢丹が揃えた商品であれば大丈夫という伊勢丹の商品を選別する目には信頼を置きますが、金融商品を選ぶ目、そして顧客ニーズにあった商品を提案する能力は未知数だと思います。「品揃えはあります。自由にお手にとって選んでください。くれぐれも自己責任ですから慎重に選んでくださいね」と品揃えに満足した業者にならないことを願います。
 
 新規参入組は、「既存組とはここが違う。ここを見てください」という、消費者にわかりやすい見せ方で、既存組と勝負してもらいたいと思います。