昨日、「前川さん、こんな景気の調子じゃ、当分金利は上げられないよねえ?」と聞かれて、「私もそうだと思います」と答えました。もしこの質問が、「前川さん、こんな景気の調子じゃ、当分金利は上がらないよねえ?」と聞かれたなら、「それはどうでしょう?」と同意しなかったと思います。
 違いは「上げられない」と「上がらない」の違いです。
「上げられない」のは政策意図で行われる政策金利のことで、これは中央銀行である日本銀行が決める金利です。現在のように「景気後退懸念やデフレ懸念をこれ以上進行させてはならない」と景気浮揚策を取っている環境に、逆行する「政策金利の引き上げ」はありえません。
「上がらない」のは市場が決める金利です。景気の先行きやさまざまな相場の先行きを読んでマーケットが決める金利です。これは株価のように常に動いています。
大抵の人は預金金利しか馴染みがないので「金利は動かん」という印象を持っていると思います。それは預金金利はマーケットが決める金利ではなく、銀行が決める金利だからです。
逆に、住宅ローンの金利だとか、個人向け国債の金利はしょっちゅう動いていることに気づかれていた人も多いはずです。こちらはマーケットが決める国債利回りと連動しているからです。
ちなみに、期間10年の米国債利回りは、2006年のときは最高金利が年5.24%、最低金利が年4.29%。
2007年が最高5.32%、最低3.84%。2008年が最高4.32%、最低2.04%。そして今年に入ってからまだいくらも立っていませんが、それでも最高2.82%、最低2.16%。現在が2.82%です。
年間で金利が上下する変動幅が1%から2%あったことがわかりますよね。
期間10年ですから、最高と最低では、最後の仕上がりで年1%違えば1割、年2%違えば2割というパフォーマンスに違いが出てくるわけですからばかになりません。株価の割高・割安と同様に、金利の割高・割安に関心を持っても損はないと思います。
以前も書きましたが、「信用収縮の時代になった」おかげで、貸し手が借り手を選ぶことができる、つまり投資家は信用リスクを取る見返りで、高い利回りの確定運用ができる可能性、選択肢が増えたわけです。
こんなチャンスはいつもあるわけではなく、信用収縮が起こっている今だからあるのです。
 是非是非、常時変動するマーケットが決める金利に関心を持ってください。損はないはずです。
勉強したい方は、手前味噌で恐縮ですが、私が書いた「いまは債券投資が面白い」を参考にしていただければ幸いです。