デカップリングとは「連動しない」「切り離された」という意味らしい。2007年4月に世界経済見通しを発表した国際通貨基金(IMF)は、新興国の輸出に占める米国向けのウェートが低下していることなどを根拠に「米国の成長率が低下しても新興国の高成長には大きなダメージとならず、世界経済の成長を支える」という見方を示し「デカップリング」という考え方が広まりました。久しくドル暴落論が唱えられ、その都度、危ういドルの受け皿として「これ」といった風に自分の売りたい投資対象を用意する輩が後を絶ちません。
 ある時はヘッジファンドなど、特別な人しか買えなかったともったいをつけ、これまでの実績を披露するもの。ある時は通貨ユーロ。あるときは高金利新興国通貨。あるときは商品。品を変え、誘導したい対象がありました。
 確かに米国経済は予想通り、予想以上の後退を余儀なくされましたが、デカップリングにはならず、世界経済が同時にドテン。誘導された対象もドテン。
 そして今も変わらず、ドル暴落を唱える輩は多くいますが、大きく異なる点は金以外に価値を保っているものがほとんど見当たらず、「ドルの受け皿ならこれ」というものが見当たらないことです。
 むしろドルの受け皿として、長らく金とユーロは連動していましたが、現在はユーロの受け皿として、ドルと金の連動性が高まっているようです。
 現在の投資行動は、目先の効率を求める向きは少なくなり、まず安全性をもとめるようになりました。私は日本人の方で「ドルは暴落するから投資対象として適切でない」という見方をする人に出会うと「もし安全な資産を求めるとしたら何に注目しますか」と聞くことにしています。
「円資産以外の資産を持つ必要があると思いませんか」
「資産のヘッジという考え方で金を持つのは有効な選択肢だと思いますが、有効な選択肢である金は円資産の代わりでどれほどの割合で持つのが妥当だと思いますか」
「円以外の通貨を持つとしたら、米ドル以外にどんな通貨を選択しますか?たとえば新興国通貨建ては安全を求める円資産の受け皿として妥当ですか」
「ユーロの価値は大分減価しましたが、ドルとユーロを比べたら、今でも迷わずユーロで持つのが安心だと思いますか」
 私はドルの価値が絶対だと言うつもりはありませんし、基軸通貨としてのドルの絶対的な地位はもう終わったと考えています。しかし、今回の金融不安が金融危機となり経済恐慌が心配される現在においては、ドルの暴落を怖れる流れよりも、危機感の高まりはむしろ、他の対象が頼りなくなることによる相対価値の上昇により、基軸通貨ドルの信認が固まっていくのではないかと私は考えています。もちろん、私の思慮の浅い考えからなので、結果責任は負えません。
 ドルの暴落を心配するよりも、根拠無く強く祭り上げられてしまった円高の状況を心配した方が良いと考えます。我々日本人は昨年、根拠無き原油高に泣き、今はそこからかなり安い原油を手にすることが出来ているのに、幸福感はありません。
原油高に泣き、原油安になっても笑えない。
同様に現在は円高に泣いていますが、円安になったら笑える準備が出来ているのでしょうか。ドルに比べて、通貨円の価値は妥当なのでしょうか。
 あの高金利・資源国の通貨高でさえ、買われた反動で大きな修正を余儀なくされました。円が逃げ込む資産はどこになる可能性が高いのでしょうか?ユーロですか?
それがドルである可能性はないのでしょうか?
安全資産を求める資金は、いったいどこを目指すのか。今一番関心を持っている私のテーマです。