プロ同士のやりとりは、ある意味で気を使わなくて楽です。お互いがプロとして会話、議論をしているわけですから、「それってどういうことですか」と聞かれない限り、理解している前提で話が進みます。
 先日記者の人が「専門家の話を聞くときには気を使う」と話してくれました。記者は専門家に取材して、しろうとである読者にわかりやすく伝えるのが役目。「それってどういうことですか」と専門家に尋ねると、露骨に嫌な顔をする人がいるそうです。「そんなことも知らないで取材に来ているのか。面倒くさいなあ。勉強して来いよ」という無言のプレッシャーを感じるそうです。記者の方を気の毒に思います。
 私の尊敬するプロは「こうした言葉遣いをすれば、専門用語を使わないで説明できるんだ」と、常にわかりやすく普通の言葉で説明する努力をしています。「今回はこう伝えたけど、こうすればもっとわかりやすかったかもしれない」と常に反省し、それを楽しんでもいるようです。
 私はまったく素養のない人間ですが、この金融・経済の分野であれば、プロと初心者の間に入り、「プロが初心者にうまく伝えられないもどかしさ」、「初心者が質問したいけど、何がわからないのかがわからないもどかしさ」という課題解決のお手伝いができるのではと思い、独立しました。
 記者の方にはわかったふりをしないで、「それってどういうことですか」と初心者の方にここまで聞いたら伝えられるというところまで、何回でも確認してもらいたいと思います。専門家を悩ませるぐらいに。「自分の言葉は初心者の方には伝わらないんだ」ということを教えてあげてください。そこで相手に合わせた話の必要性を受け止めた人は、きっと後で感謝すると思います。「それってどういうことですか」は相手を磨く言葉であり、自己責任時代に入り、専門家のごまかした対応は許されません。