私は独身時代、彼女すらいないのに「ダイヤ」を買わされました。銀座でキャッチに合い、喫茶店で3時間ぐらい熱心?な勧誘を受けた結果です。最初は270万円もする「ダイヤ」でした。そんなもの「無理、無理」というと、徐々に値を下げ60万円クラスのダイヤに話が集中しました。いかにこのダイヤはお買い得であり、鑑定書付きで、一流損保会社が70万円の保険までつけている確かなものだというのです。
 私は「彼女はいないし、もちろん結婚する予定もない。車を買いたくてお金を貯めていたんだ」と負けじと断りましたが、その彼女(たぶん美形だったと思う)は、「車は中古になるけど、ダイヤはならない。将来お金を足したら、もっと大きなダイヤと交換できる」と言い張ったのです。押しに弱い証券マンだった私は彼女の軍門に下り、後日彼女のオフィスを訪問し、正式に契約をしました。
 そしてなんと丁寧にも、翌日彼女から「NYに転勤になりました」という突然の連絡をもらい、人が良いの限度をはるかに超えた私は「体に気をつけて頑張ってください」とやさしい声をかけていました。
 後で知りました。損害保険の保険額は時価とは関係なく契約者の自由で決められ、時価以上にかけても無駄になるということを。だから「1億円の瞳」とか「1億円の美脚」という保険がかけられるのか。70万円のダイヤの価値を損保会社が保証してくれたわけではないんだと。幸いにも、現在そのダイヤは嫁さんの「プチペンダント」の石として活躍しています。くれぐれも価値のわからない高額商品を勢いや雰囲気に負けて、簡単に購入しないように注意しましょう。浅はかな決断をした自分を、たまにふと思い出します。